《第107回全国高校野球茨城大会》3時間超 応援席も熱気 明秀日立「みんなに感謝」


ノーブルホームスタジアム水戸(茨城県水戸市見川町)で27日に行われた第107回全国高校野球選手権茨城大会決勝は、決勝戦初のタイブレークの末、明秀日立高(日立市)が藤代高(取手市)に競り勝った。両校応援団は、3時間を超す熱戦に声援を送り、最後まで選手を後押しした。三塁側スタンドの明秀日立高の応援団は、3年ぶり2度目の優勝と甲子園出場に歓喜した。
明秀日立高は生徒や保護者ら約500人が集結した。猛暑の中、野球部員や応援団を中心に多彩な応援歌でナインを鼓舞。応援団長を務めた同校3年、金成朋佳さん(18)は「応援の力で勝利に貢献する。勢いづけたい」と言葉に力を入れた。
一回表、幸先よく2点を先制すると、スタンドは大歓声。2点適時打を放った5番の佐藤虎太郎選手(3年)の父、倫之さん(49)は「調子が上がってこない中で一本出た。流れも呼んでくれた」と息子をたたえた。
タイブレークの十回。2点を奪い、「よっしゃー」と再び大歓声。中岡誠志郎投手(3年)が最後の打者を三振で抑え、優勝が決まった瞬間、生徒らはうれし泣きしたり、抱き合ったりして喜びを分かち合った。応援をけん引した野球部3年、松本翔生さん(17)は「練習はきつかったけど、みんなで乗り越えてきた。実を結んで良かった」と笑顔がはじけた。
けがを抱えながらも代打で安打を放った能戸輝夢主将(3年)の母、志保さん(40)は「甲子園へ連れて行ってくれてありがとう。みんなに感謝」とうれし涙を浮かべた。好投で勝利を呼び込んだ中岡投手の父、和也さん(48)は「よく頑張った。自慢の息子。甲子園を楽しんでほしい」とわが子を誇った。
■小川春樹日立市長の話 旋風巻き起こして
常に全力プレーで、諦めない強い気持ちを持って戦った結果が見事に実を結び、多くの市民に元気と勇気、そして感動を与えてくれた。甲子園では「明秀日立旋風」を巻き起こし、深紅の大優勝旗を持ち帰ってくることを期待している。
■練習場と寮がある高萩市の大部勝規市長の話 粘り強さが印象的
準決勝を勝ち抜いた時点で、明秀日立高の強さを確信していた。粘り強さが印象的だった。決勝での長時間にわたる接戦は、全ての観客に深い感動を与えてくれた。甲子園で実力を存分に発揮し、勝利を重ねていくことを心より期待している。
■藤代に「ありがとう」
一塁スタンドの藤代高側は生徒や保護者、OBら約600人が詰めかけた。野球部OBの中村修取手市長(63)は公務の前に駆け付け、「ここまで来たら無心で全力を尽くして楽しんで」と後輩にエール。
同校には応援団員がいないため、野球部員で3年の山内瑠大さん(18)が団長を引き受け、エール交換でリーダーを務めた。試合中は「いくぞ、いくぞ」と声を張り上げ、得点時には部員たちにバケツの水をかけ、一気にボルテージを上げた。
ゲームセットになると、山内さんはしばらくぼうぜんとしていたが、「公立校として地元の人から多くの応援をもらった。3年生の選手は自分たちベンチ外の部員の思いも背負い、戦ってくれた。ありがとうと言いたい」と選手たちに拍手を送った。
成田未来主将(3年)の父、学さん(49)は「後輩たちにいいものを残せた試合だった。お疲れさま」とねぎらった。