水戸切りつけ 手に刃物、うめく男 複数人で取り押さえる 茨城

28日夜、茨城県水戸市南町2丁目で男性(70)を複数回切りつけたとして、いずれも自称で同市、男(48)が現行犯逮捕された。被害者はほかにも5人いるとみられ、県警水戸署で詳しい状況を調べている。
当時、現場近くのスーパーに買い物に来ていて、その後、ほかの男性らとともに男を取り押さえた男性(70)が緊迫した様子を振り返った。
「訳の分からない人に切られた」。額から出血し、服も血まみれの状態の高齢女性が、叫びながらスーパー店内に駆け込んできた。男性は近くのうどん店から「犯人が表のほうに出た」と聞き、スーパーの国道50号側の入り口前に回った。
すると、男がうつぶせの状態で男性数人に手足を押さえ付けられていた。男の近くにはスキーで着用するようなゴーグルが落ちていた。高齢女性が「犯人はお面をかぶっていた」と話していたのを思い出した。
取り押さえた男性たちも負傷して、血だらけだった。男の顔は血の気が引いたように青白かった。男は「うーうー」とうめき、抵抗していた。70歳男性も加勢し、男の腕を押さえ付けた。手には数十センチのナイフのような物を握っていた。
近くにも同じ様なナイフが落ちていた。男の腰にはケースがあり、短刀のような刃物が収まっていた。男性は「男はぐっと力いっぱい刃物を握り、離そうとしなかった」と言うが、何とか刃物を取り返した。「手錠を早く!」。駆け付けた警察官に男を引き渡した。
男性は「とにかく必死だった」と振り返る。けがはなかったという。
現場近くで働く男性(57)は事件直後に駆け付け、通行人らに取り押さえられていた男の腰ベルトからサバイバルナイフを抜いて遠ざけた。男は両手に刃物を持っており、一本は「刃渡り1メートル近い」ナタのようなものだったという。男は顔全体が隠れるマスクをかぶっていた。
出血した被害者は「痛い」と漏らしており、駆け付けた通行人らが協力して傷口をタオルで押さえたり、ベルトで圧迫したりして止血に当たった。
別の会社員男性(52)は犯行後に警察官に連行される際、興奮した様子の男を目撃。「パトカーに乗り込む際に何やら大声で叫んでいた」と振り返った。
現場近くの食堂で働く80代女性は、スーパーへ買い出しに行こうとして、店の前で男が何かを振り回しているところに遭遇した。最初は「木刀かな。けんかしているのか」と思ったが、通行人が「男が刃物を3本持っている。近づかないで」と小走りで注意してきたという。
女性は「南町でこんなことが起きるなんて。怖かった」と声を震わせた。