鴨安商店 自己破産負債申請 負債10億円 茨城
帝国データバンク水戸支店は29日、水産物加工業の鴨安商店(茨城県神栖市波崎)が25日までに事業を停止し、水戸地裁に自己破産を申請したと発表した。負債は金融債務を中心に約10億円が見込まれる。
同社は、1882年創業、1948年5月に法人改組した。イワシ、アジ、サバなどのみりん干し製造が主力事業だった。ほかにも缶詰の原料向けとしてサンマ、サバなどの冷凍加工、竜田揚げなどの調理加工も行い、首都圏や東北地方の水産商社に販売していた。2004年9月期の年売上高は約25億4700万円を計上していた。
だが、不漁を背景に一部魚種が相場高騰し、干物などの原料として使いにくくなったため取り扱い数量が大幅に減少した。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、外食産業や土産物向けの需要が落ち込み、近年の年売上高は10億円を下回るようになっていた。
新型コロナ禍後も業況は回復せず、24年9月期の年売上高は約5億円にとどまり、赤字決算が続く中で資金繰りなど先行きの見通しが立たなくなっていた。