首都圏新都市鉄道 TX東京駅延伸調査へ 今秋以降、効果を研究

つくばエクスプレス(TX)の東京駅延伸を巡り、運行会社の首都圏新都市鉄道(東京)は31日、延伸した場合の効果を研究するため、今年秋以降に調査を始めると明らかにした。同社の渡辺良社長が茨城県つくば市内で記者会見し、2050年を見据えた長期ビジョンを発表。ビジョンの中に、沿線自治体から要望が出ていた東京駅延伸への対応を明記した。調査は民間会社に委託するという。
国の交通政策審議会は「TXの東京-秋葉原間延伸」「延伸と臨海地下鉄の一体整備」を答申に盛り込んでおり、相互実現の動きが本格化している。
こうした状況を踏まえ、同社はビジョンの取り組みの一つに、「国や自治体等と連携した交通政策審議会答申プロジェクトへの対応」を盛り込んだ。
TXは東京・秋葉原-つくば駅間の58.3キロを運行。2005年8月24日に開業し、今年20周年を迎える。茨城、東京、埼玉、千葉の1都3県に加え、つくばやつくばみらい、守谷など沿線の11市区や民間企業が出資して運営している。
東京駅延伸を巡っては、沿線11市区が昨年12月、期成同盟会を設立。今年6月下旬には、東京駅延伸に関する調査の早期実施を同社に要望していた。
調査は要望を受けたもので、渡辺社長は記者会見の中で「延伸が持つ社会経済的な意義が何か、知見を高めるために調査する」と説明した。「(東京駅延伸の)機運醸成の一助になれば」とも語った。
調査項目としては、延伸による地価の上昇効果や首都圏の労働環境へのインパクト、災害時のリダンダンシー(代替輸送機能)などを想定している。調査期間は1年ほどで、結果は期成同盟会と情報共有するという。
一方、県は東京駅とは逆方向のJR常磐線土浦駅方面への延伸を検討。今年2月に事業計画素案を発表し、東京駅延伸と一体での整備を目指している。土浦延伸について、渡辺社長は「現時点でコメントする立場にない」と述べるにとどめた。