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津波や台風、海水浴期直撃 茨城県内旅館・飲食店 相次ぐ臨時休業 「耐えるしか」

津波警報に伴い高台に避難した人たち=7月30日午前、大洗町内
津波警報に伴い高台に避難した人たち=7月30日午前、大洗町内


7月30日のロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震の津波警報は、海水浴シーズン真っただ中の茨城県沿岸部にも発令された。公設海水浴場周辺の旅館や飲食店では、宿泊のキャンセルや臨時休業が相次ぎ、さらに台風の接近で遊泳禁止は続いた。海水浴客の減少に追い打ちをかける天災に、関係者からは「耐えるしかない」など悲痛な声も聞かれた。沿岸自治体は「海離れ」の食い止めも視野に、海水浴場の安全対策を進めている。

■「仕方がない」

毎年10万人以上が海水浴を楽しむ県内最大の公設海水浴場「大洗サンビーチ」(同県大洗町)。津波の余波は地元の宿泊業に及んだ。老舗旅館「肴屋本店」では30日夜に宿泊予定だった10人がキャンセル。台風9号の接近でも予約取り消しがあった。同旅館の代表で、大洗観光協会長の大里明さん(48)は「こればかりは仕方がない」と声を落とした。

同県ひたちなか市の阿字ケ浦海水浴場のそばにある旅館「阿字ケ浦クラブ」では30日、高校生の団体に、宿に入る時間を遅らせて来てもらったという。支配人の黒沢広忠さん(62)は、平日で海水浴の宿泊客は少なかったといい、「土日だったら損失も大きかったかもしれない」と話した。

沿岸部の飲食店では、臨時休業が相次いだ。同町の海沿いの店の男性は「耐えるしかない」と厳しい表情。「東日本大震災やJCOの臨界事故でも海水浴客が減った。それでも乗り切ってきた」と自らに言い聞かせた。

■事業続くよう

県によると、県内では40年前のピーク時に887万人余りいた海水浴客が大幅に減少した。昨夏の来場客は約35万2000人にとどまり、前年比でも約2割減。猛暑や台風に加え、南海トラフ地震臨時情報による海のレジャーや旅行控えなどが影響したとみられる。

今年も津波や台風で遊泳禁止がかさみ、一層の減少が懸念される。

一方、海水浴場の管理を担う市町村では「海離れ」の食い止めも視野に、安全対策が進む。大洗町では、東日本大震災後に津波対応のマニュアルを刷新。海水浴場のライフセーバーや駐車場の管理者とも連携し、安心して楽しめる環境づくりに注力する。

今回の津波では、地震の情報が集まると、注意報の段階から警報級の対応に切り替え、海水浴客の避難を進めたという。

町担当者は「海水浴客は減ったとはいえ、今も地元の事業者にとって重要な存在」と強調。「海水浴客には安全に楽しんでもらい、事業者には末永く続けてもらえるよう取り組んいる」と語った。

課題として、避難情報をまとめたサイトなどの認知度向上を挙げ「夏は不特定多数の方が集まる時期。今回の津波も機に、周知を強化していきたい」と気を引き締めた。



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