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《戦後80年》劇場アニメ「ペリリュー」 「戦争考えるきっかけに」 原作者・武田さん 連携パネル展PR 茨城

劇場アニメと連動して本県内で行われるイベントや作品をPRする原作者の武田一義さん(右から2人目)ら=県庁
劇場アニメと連動して本県内で行われるイベントや作品をPRする原作者の武田一義さん(右から2人目)ら=県庁


太平洋戦争の激戦地、パラオ・ペリリュー島の戦いを題材にした劇場アニメ「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」が12月5日に全国公開されるのに連動し、茨城県内各地で8月から連携した催しが開かれる。原作漫画の作者、武田一義さん(49)らが6日、県庁で記者会見し、「多くの人が戦争を考えるきっかけにしてほしい」と催しをPRした。

同島では1944年9~11月まで日米両軍の激戦があった。同県水戸市の茨城大水戸キャンパスに駐屯地があった陸軍歩兵第二連隊(水戸二連隊)を主力とする日本軍守備隊約1万人が派兵され、生き残ったのは34人だけだった。

武田さんは、同名の原作漫画で、かわいらしいキャラクターとは裏腹に、相次ぐ戦闘や飢えや渇き、伝染病など、戦争の悲惨さや残酷さをリアリティーあふれる描写で表現している。

一連の県内イベントは、配給元の東映(東京)主催、筑波海軍航空隊記念館(同県笠間市)共催。

調整に当たった同館の金沢大介館長は、ペリリュー島の戦いから生還した一人の永井敬司さん(2019年、98歳で死去)から「忘れさせてはいけない」と直接指摘された逸話を紹介。催しについて「特に子どもたちが水戸二連隊のことや地元の歴史を知り、考えてほしい」と話した。

パネル展が今月から来年1月にかけ、県内4カ所で開かれる。映画オリジナルのシーンカットやキャラクター設定画像、漫画の原画などを紹介する。会場(会期予定)は、常陸大宮市文書館(8月中旬~11月9日)▽筑波海軍航空隊記念館(9月1日~1月31日)▽茨城大水戸キャンパス(10月1~28日)▽水戸市役所(12月上旬)。

同大キャンパスでは11月15日か16日、学生限定の先行試写会と舞台あいさつがあり、武田さんも登壇する予定。

同大周辺には複数の関連遺構があり、資料収集を進めている。同大の蓮井誠一郎教授(平和学、国際政治学)は「二連隊研究は途上の段階」とした上で、「作品を契機に大学内外で歴史的な研究活動の活性化に期待したい」と話した。

このほか、茨城県版のオリジナルポスターも制作し、今後県内の公共施設などに張り出す。

武田さんは「作品を通して当時の人の心の動きや社会背景を知ってほしい」と話した。



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