SFTS 茨城県内初感染 マダニ媒介 70代男性重体

茨城県は7日、マダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に、県内在住の70代男性が感染したと発表した。県内で人の感染確認は初めてで、男性は意識不明の重体。畑や山での草刈りの際、マダニにかまれて感染したとみられる。SFTSの致死率は10~30%とされ、県は野山での活動の際に虫よけ剤を使用するなど対策を呼びかけている。
県疾病対策課によると、中央保健所管内の医療機関から5日、発生届があった。男性は集中治療室(ICU)で、昨年認可された抗ウイルス薬「ファビピラビル」などによる治療を受けている。
7月28日に発熱した男性は、同29日に医療機関で解熱剤の処方を受けた。改善しなかったことから、同30日に別の医療機関を受診し、その2日後に意識障害が現れたため入院した。県衛生研究所の遺伝子検査の結果、SFTSウイルスが検出された。
男性は左太もも内側に1カ所、かまれたような痕があった。男性が潜伏期間中に遠出をしておらず、ペットを飼っていないことなどから、県は県内で草刈り中にマダニにかまれて感染したと推測した。
SFTSはマダニにかまれたケースのほか、ウイルスに感染した人や動物の体液などを介して感染することもある。6~14日の潜伏期間の後、発熱や嘔吐(おうと)、下痢などが現れ、重症化すると意識障害などを伴って死亡する可能性がある。高齢者の感染が多く、致死率は10~30%とされる。
国立健康危機管理研究機構の資料によると、これまでに確認された全国のSFTSの患者数は4月末現在で計1071件。西日本が中心だが、関東でも計3件の届け出があった。7月には神奈川県で60代女性の感染が確認された。
茨城県では、5月に飼い猫1匹の感染が判明。6月には飼い犬1匹の感染が確認されたが、人の感染報告はなかった。
マダニは草むらなどに多く生息し、春から秋ににかけて活発に活動。同課は野山や畑での活動時について「長袖、長ズボン、帽子、手袋の着用や虫よけ剤の使用が効果的」と対策の重要性を強調し、マダニに注意するよう訴えている。