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響け歌声 海外初公演 NHK水戸児童合唱団 12日から タイの救出劇、現地で披露 茨城

初の海外公演に向けて練習に励む団員たち=水戸市三の丸
初の海外公演に向けて練習に励む団員たち=水戸市三の丸


NHK水戸児童合唱団(遠峰駿一郎団長)が12日から、タイ・チェンライで初の海外公演に臨む。現地で実際にあった少年たちの救出劇をモチーフにしたオリジナルの合唱劇を披露するほか、子どもたちとの交流も計画。公演は当初2020年に予定されていたが、世界を覆った新型コロナ禍で中止になり、5年越しに実現する運びとなった。出発を控え、団員たちは練習に力を入れている。

合唱団は04年設立。定期公演のほか全国規模のコンクールにも出場するなどの実績を重ねてきた。10年ほど前からはチャリティーコンサートで募った善意の一部を、現地の教育支援のために贈るなどの活動も続けている。

現地で披露する合唱劇「サン~精霊の子~」は谷川賢作さん作詞作曲。合唱と演技を織り交ぜた作品で、茨城県水戸市出身のソプラノ歌手、滝本真己さん(34)が脚本を手がけた。

主人公の少年・サンは、スコールを避けようと友人たちと洞窟に入り、増水のため閉じ込められてしまう。不安の中で体を休めていると、どこからともなくサンを呼ぶ声が聞こえ-という筋立てだ。

モチーフとなったのは、チェンライ近郊で18年夏、サッカーチームの少年らが増水した洞窟に閉じ込められた実話。現地には悲恋の末に亡くなった姫が精霊になって山に宿っているとの伝説があり、住民たちは当時、少年たちは精霊に捕らわれたのでは、とうわさしていたという。

2週間以上に及ぶ捜索・救助活動の結果、少年たちは生還。滝本さんは伝説をヒントに、行方不明のわが子を思う家族の思いや、父母を慕う子の愛をテーマにした物語を構想した。

海外公演には小学生から大学生までの21人が参加。現地で3回の公演を予定している。今月上旬に水戸市内で行われた練習では、生き生きとした表情で歌声を響かせる団員たちの姿があった。

サン役はダブルキャストで、同県ひたちなか市の川目綾乃さん(18)と、水戸市の木野内花音さん(16)が演じる。川目さんは「親子の愛について深く考えられる作品。日頃から感謝を伝える大切さを感じてもらいたい」と思いを語る。木野内さんは「モデルになった洞窟に近い場所でも上演する。現地の雰囲気も味わいながら、言葉は伝わらなくても歌で思いを伝えたい」と意欲を見せた。

公演の合間には、学生や子どもたちとの交流も予定されている。現地でも人気の日本アニメソングなどを披露する予定だ。遠峰団長(83)は「音楽を通じて心を通い合わせてほしい。海外での体験が子どもたちの視野を広げることにつながれば」と期待を寄せた。



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