茨城県原爆被爆者協議会、活動「休止」 高齢化、再開目途立たず
広島、長崎への原爆投下から80年。茨城県内の被爆者でつくる「県原爆被爆者協議会」は会員の減少や高齢化などにより、その活動ができなくなっていることが分かった。
協議会副会長の森淳さん(87)によると、主催事業として毎年夏に開いていた原爆被害者の慰霊式は、5年前の2020年を最後に開催できていない。当時はコロナ禍。高齢会員の感染防止のため、慰霊式や会合の中止が相次いでいた。ただコロナ禍が明けた後も式典は開くことができず、再開の目途も立っていない。
会員個人としての活動については、被爆者の体験を基にした紙芝居の朗読会を県と共催したり、被爆体験の講話をしたりして続けているものの、協議会全体の活動は事実上休止状態という。森さんは「事務局からの連絡も途絶えた。会員が高齢化し、自分自身も会合のために移動するのもつらくなってきた」と話す。
被爆者は年々高齢化し、その数を減らす。全国の被爆者は10万人を切り、平均年齢は80代後半。県によると、被爆者健康手帳を持つ県内の被爆者数は4月1日時点で226人。森さんは「協議会がなくなれば、原爆で大勢の罪なき人が亡くなったという事実が薄れてしまう」と危機感を募らせる。
全国でも被爆者団体の活動休止や解散が相次ぐ。日本被団協によると、47都道府県にあった被爆者団体は高齢化で現在、35団体まで減っている。