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日航機墜落40年 九さんの姿、思いはせ 長女・大島花子さん 茨城・笠間訪問 「命の尊さ伝え続ける」

坂本九さんの結婚式のアルバムを眺めながら語り合う大島花子さん(左)と塙東男宮司=笠間市笠間の笠間稲荷神社
坂本九さんの結婚式のアルバムを眺めながら語り合う大島花子さん(左)と塙東男宮司=笠間市笠間の笠間稲荷神社


1985年8月に起きた日航ジャンボ機墜落事故から12日で40年を迎える。この事故で命を落とした国民的歌手、坂本九さん=当時(43)=の長女で、歌手の大島花子さん(51)は今夏、坂本さんが幼少期を過ごした茨城県笠間市を訪れ、親交のあった関係者と生前の姿に思いをはせた。「命の尊さを伝え続けたい」。新たな企画などを通し、今も親しまれる父の歌を歌い継ぐ決意を新たにした。

神奈川県川崎市生まれの坂本さんは戦時中、母の故郷である笠間に疎開。2~6歳まで住み、歌手生活の合間にも定期的に訪れた。この縁深い笠間に7月下旬、大島さんが訪れ、笠間稲荷神社で父と親交があった宮司、塙東男さん(80)に当時の話を聞いた。

■誇らしい

「わんぱくで、みんなを楽しませてくれる。人柄も素晴らしい人」

塙さんは懐古した。71年、俳優の柏木由紀子さんと同神社で挙式。パレードは約7000人が参道に押し寄せ、一日中、盛大なお祝いが開かれたという。

事故前には、坂本さんから「帰ったら話したいことがある」と言われ、帰りを待っていた。神社に来た記者から、日航機に搭乗していた可能性を知らされた際は「残念でならなかった」。

遺体の身元判明のきっかけとなったのは「笠間稲荷」の4文字が彫られたネックレス。米国で購入したものを、塙さんの許可を得て加工したものだった。

笠間の防災無線のチャイムは、正午に「上を向いて歩こう」、午後5時に「明日があるさ」が鳴り響く。流れるたびに坂本さんを思い出すといい「九ちゃんは笠間にとっても誇らしい人」と笑みを浮かべた。

■歌い継ぐ

坂本さんの歌は、現在も老若男女に親しまれる。自身の講演やコンサートで来場者が口ずさむ姿を見てきた大島さんは、「父が残した音楽が今も生き続けている」と感慨深そうに話した。

墜落事故の現場となった群馬県の御巣鷹山。山頂近くには、坂本さんの墓標が立つ。12日で事故から40年。「数字に過ぎないが、父の姿を振り返る機会になった」。今年は父が最後に発表した曲「心の瞳」を知ってもらおうと、全国の学生などと歌う新たな企画も実施する。

「大切な人を亡くす悲しみを経験したからこそ、別れを悲しむ心に寄り添い、命の尊さを伝え続けたい」。大島さんは父の思いも乗せて、大好きな歌を歌い継いでいく覚悟だ。



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