《いばらき戦後80年》地下無線室整備へCF 筑波海軍航空隊記念館 笠間市と茨城県 戦争の記憶と遺跡継承

筑波海軍航空隊記念館(茨城県笠間市旭町)の敷地内で発見された地下無線室を整備し一般公開するため、同市と県はふるさと納税型クラウドファンディングを受け付けている。目標額は市が200万円、県が500万円。寄付は公開に向けた地下無線室の周辺整備や老朽化工作物の撤去に活用。整備工事を10月末までに行い、11月下旬からの公開を予定している。
同記念館は同航空隊旧司令部庁舎で、戦時中、特攻隊の訓練などが行われた場所。現在は県が所有し、市が管理する。戦後80年となり記憶や資料が急速に失われつつある中、幅広い年代に戦争の記憶と遺跡を後世へ継承できるよう整備したい考えだ。
地下無線室は2022年に県が行った敷地内の掘削調査で発見された。大谷石の階段を下りた先には、大人が立っても頭上に十分余裕がある室内が広がる。かまぼこ形の天井で壁には大谷石を使用。外側は鉄筋コンクリートで強度を出している。市文化振興室の柴田裕美室長は「地中に埋まっていたために劣化したイメージはない」と話す。
公開に向けた整備では既存施設や樹木を撤去し、園内路やメッシュフェンスを設置。地下に通じる入り口の階段を整える。内部については「ありのままで残す」(柴田室長)方針。申し込みを受けて、毎週日曜日にガイド付きで公開する。記念館入場料とは別に施設見学料が必要になる。
市は返礼品として、「地下無線室」見学フィールドワーク体験コース(7000円)▽同記念館デジタルミュージアム閲覧権(3万4000円)▽笠間焼海軍復刻洋食器セット(37万円)▽笠間焼海軍復刻カップ&ソーサー(10万円)に、それぞれ同記念館入場券をセットした限定の4種類を用意。県も同体験コースなどを提供する。
受け付けはいずれもふるさと納税ポータルサイトとし、市は「ふるさとチョイス」、県は「さとふる」。市は企画政策課の窓口でも直接受け付ける。期間は10月31日まで。柴田室長や市企画政策課は「多くの人に当時のことを知ってもらい、話題にしてほしい」と話した。