終戦80年 茨城県内各地、平和へ誓い 戦没者追悼式や慰霊祭



戦後80年の節目となった終戦の日の15日、茨城県内各地で戦没者の追悼式や慰霊祭が行われ、多くの遺族や関係者が出席して犠牲者を悼んだ。「大戦の記憶を風化させてはならない」などと、戦争の悲惨さや平和の大切さを後世に伝えていくことを改めて誓い合った。
■世界の現状見つめ 高萩
高萩市の戦没者追悼式は、同市春日町の総合福祉センターで開かれた。遺族や小中高生ら67人が参列。戦没者に黙とうし、平和の尊さを実感した。
大部勝規市長は「多くの方が亡くなられたことは、永遠に忘れることのできない痛恨の極み」などと式辞。市遺族会の鈴木良一会長が追悼の辞を述べた。
高校生代表として、水戸二高3年の抜井千夏さん(18)が「平和への誓い」を宣言。自分たちは戦争体験者から直接話を聞ける最後の世代とし、「世界の現状を見つめ、正しい歴史認識を持つことが大事」と訴えた。
■惨禍繰り返さない 坂東
坂東市戦没者遺族会が主催する「平和の像 慰霊祭」が、同市岩井の八坂公園で開かれた。遺族ら約40人が参列、犠牲となった市内約1500人ら戦没者を追悼した。
慰霊祭は、1993年に平和を祈願する像が公園内に建立されたのに合わせて始まり30回目。像のほかにも戦没者名が刻まれた忠霊碑が立つ。像の前には戦没者名簿が並べられ、正午の時報とともに全員で黙とう。その後、参列者一人一人が像の前で献花し、戦没者に哀悼の意を表した。
市遺族会長の倉持稔さん(86)は「80年が過ぎたが、大戦の記憶を風化させてはならない。戦争の惨禍を繰り返さぬよう、次世代へ語り継いでいく」と誓いを述べた。
来賓の木村敏文市長は「平穏な日々は、戦没者の方々の尊い犠牲の上に築かれている。決して忘れてはいけない」と強調した。
■核兵器廃絶目指す 北茨城
北茨城市の戦没者追悼式は、同市磯原町本町の市民ふれあいセンターで開かれた。遺族や市内の小中学生、関係者ら約150人が黙とうや献花を行い、平和への誓いを新たにした。
豊田稔市長は「過去の痛みと向き合い、国際社会と共に核兵器廃絶を目指すことこそが戦没者への報いだ」と式辞。市連合遺族会の滝一司会長らが追悼の辞を述べた。
市内の中学生代表と、「ヒロシマで学ぶ平和への旅」に参加した小学生代表がそれぞれ「平和への誓い」を宣言。市立中郷中3年の伊藤悠馬さん(14)は「相手の立場で考えることが平和への一歩。命が当たり前に守られる世界を目指し、できることをやり続ける」と決意を示した。