痴漢 アプリでSOS 茨城県警、周知に力 表示や音声、助け要請

茨城県警は痴漢撲滅に向け、防犯アプリ「いばらきポリス」の周知に力を入れている。被害時に声を出せなくても助けを求められるよう、周囲に知らせる画面表示や音声、110番などの機能を搭載する。県迷惑防止条例違反(体に触れる行為)の摘発件数は今年、7月末現在10件で、被害が届けられていない可能性もある。県警は「泣き寝入りしないで」とアプリの活用や相談、通報を呼びかける。
「いばらきポリスのダウンロードをお願いします」
県警は7日、同県つくば市吾妻のつくばエクスプレス(TX)つくば駅で痴漢撲滅キャンペーンを行い、県警生活安全総務課や人身安全少年課の警察官、駅員など20人近くが参加。パンフレット400部など啓発品を配布しながら、アプリの活用を訴えた。
同アプリは県警が2023年3月から配信。犯罪や不審者の情報、防犯メールなどの機能が注目されがちだが、「ちかん撲滅機能」も兼ね備える。痴漢の被害時に多くの人が声を出せないことから、画面表示や音声などで周囲の人に助けを求められるようにした。
「ちかんです 助けてください」「やめてください 警察に通報します」の二つの画面は、いずれもタップすると音声が出る。「ちかんされていませんか」との画面表示で、周囲に知られないよう目撃者が被害者に助け舟を出すこともできる。タップで防犯ブザーを鳴らすことや110番通報することも可能だ。
キャンペーンで啓発品を受け取った大学院生の女性(24)は「声が出せなくても、これなら使えそう」と話した。
県警生活安全総務課によると、県迷惑防止条例(体に触れる行為)違反の摘発件数は、22年に13件、23年に8件、24年16件、今年7月末現在で10件と大きな変動はない。同課は、被害者が警察に届け出ていない可能性を懸念する。
内閣府の23年度調査によると、被害に遭った16~29歳までの女性のうち8割が警察に通報や相談をしなかった。理由は「大ごとにしたくない」「通報するほどのことではないと思った」がそれぞれ約4割に上った(複数回答可)。
同課の青木泰樹警部は「痴漢は被害者の日常に恐怖心を与え、心と体に大きく影響する」と事の重大さを指摘。県警は「泣き寝入りしないで」と訴え、同アプリの痴漢撲滅機能の活用とともに、相談や通報を呼びかけている。