桂雛の着物 壁かけアート 茨城県伝統工芸品と同素材、縫製技法 クルーズ船客室で採用

茨城県伝統工芸品のひな人形「桂雛(かつらびな)」の着物と同じ素材や縫製技法で仕立てた壁かけアート「Kasane Frame(カサネフレーム)」が、郵船クルーズが運航する豪華クルーズ船「飛鳥Ⅲ」の客室に採用された。制作する桂雛(同県城里町)の小佐畑孝雄社長(52)は「ひな人形の新たな切り口を紹介できてうれしい」と喜びを口にする。
飛鳥Ⅲは、7月20日に就航した郵船クルーズの新造船。日本全国の魅力を発信するプロジェクトとして、47都道府県それぞれをテーマにした客室が設けられた。壁かけアートのほか、ウェルカムドリンクや置物など、ご当地のものが集まっている。
カサネフレームは、宮中の服飾文化の色使い「襲(かさね)色目」をアートにした作品。「匂い」と呼ばれるグラデーションを、5枚の衣で表現した。季節性の高いひな人形を一年中楽しんでもらおうと、県産業技術イノベーションセンターの協力の下開発した。
作品は「SEKKA 濃き紫 four seasons」。一つ縦40センチ、横20センチの4枚一組で、春夏秋冬を表している。
今回初めて、色目の部分を立体にした。厚みを付けることで「奥行きがあり、より高級感が演出できた」と小佐畑社長は振り返る。
飛鳥Ⅲは海外クルーズも予定しており、多くの外国人が茨城県の伝統工芸に触れる機会となる。小佐畑社長は「たくさんの人に見てもらえるチャンス」と普及拡大に期待している。