《広角レンズ》街の未来像、議論加速 若者交え多様な意見 日立・共創プロジェクト 茨城
茨城県日立市と日立製作所が進める共創プロジェクトが、スマートシティーの社会実装へ向けた議論を加速している。両者は2023年12月に包括連携協定を締結。①公共交通②医療介護③脱炭素-の三つのテーマでデジタル技術を活用した持続可能なまちづくりを目指す。計画づくりで将来を担う若者を巻き込んだ意見交換を実践。多彩な考えを反映させ、人材を育てながら、街の未来を描く構えだ。
7月8日、同市中成沢町の茨城大工学部。未来の住環境を考える「スマート住宅エリア」構想へ向けた初のワークショップが開かれた。「変えること、残すべきことを考え、将来住み続けたいという思いにつなげていくことが大事」。参加者は日立の街の在り方を提言した。
ワークショップはテーマの一つである脱炭素の一環で、15年後の暮らしを考える。7~9月にかけ、市の若手職員や同社員、市内の大学生、地域企業の社員ら約30人が参加する。事前に街歩きで集めてきた情報を、分類してコンセプトをまとめる。
日立市の良いところ、足りないところを網羅。「景色の良さや個人店舗が多い点は地元の固有性。それを守ることで日立らしさが生きる」「夏の盆踊りイベントなどシンボルがあることでにぎわいができる」などと多彩な意見が出た。
同大大学院修士課程2年の小森広己さん(24)は住環境について「若者がリラックスできる居場所が少ない。ついでに何かできる第三の場所が必要では」と提案する。同社でサービスデザイン構築に携わる安村透さん(34)はワークショップについて「学生の意見は生活者目線に近い。サービスを考える上で課題解決につながる」と受け止めた。
■日常風景
プロジェクトでは、昨年11月、交通の将来像を示し、自動運転バスの運行や実験を稼働。今年6月には健康・医療・介護の将来像を示すグランドデザインをまとめた。市民向けに医療・介護の手続きのオンライン化に着手している。
プロジェクト開始から1年半。テーマに沿ってさまざまな課題を検討する段階で、若い人材も取り込んで未来の街の姿を話し合う。行政、企業に加え、学生が入って人材の幅を広げるとともに、長く関わることで市への愛着を持ってもらうという期待もある。
議論ではクラウド型の電子ホワイトボードといったソフトを積極的に活用する。会議やイベントで最新のデジタル技術を使う風景も、すっかり日常になった。
プロジェクトの事務局では「デジタルはあくまで人が幸せになり、人を支えるもの。市民の意見を至るところで反映させ、発信していく」と見通す。
■「自分事」
プロジェクトについて同市出身の徳永俊昭日立製作所社長は「課題解決型の集大成」と位置付ける。「自分事として街の未来を考える原動力になる。得られた価値を国内のさまざまな都市に広げていければ」と見据える。
小川春樹市長は「市民のためになるプロジェクト」と理解を促し、「市民と三位一体となって進め、グランドデザインを示して市内企業にも参加を提案したい」と方向性を示した。









