駐車場、トイレ整備課題 サーフィン「聖地」 茨城・鉾田のトップサンテ下 国有地で手つけられず

茨城県鉾田市上幡木には「トップサンテ下」と呼ばれるサーフポイントがある。夏の時期には安定して良い波が来るため、県内外から多くのサーファーが集まる場所だ。7月下旬には同地で国内唯一のサーフィンのプロリーグ「Sリーグ」の公式戦が開催された。大会関係者は「この環境はサーフィンにとって最高」と絶賛し、サーフィンの「聖地」になっている同地だが、駐車場やトイレが整備されていないなど、課題が山積している。
地元でサーフィン大会を開催する「波のり鉾田実行委員会」によると、トップサンテ下は夏には南風の影響で安定した波が来る。他の場所と比べて波が大きく高低差があり、形が崩れにくく水面の状況が良い点で評価されている。波情報の検索ランキングでも上位にランクインしている。
同地が良好なサーフポイントになった理由は、付近にヘッドランドが整備され潮の流れが制限されたことが影響しているという。
全国的に有名になったのは、約35年前に同委員会の人見英樹事務局長が波情報を国内のサーフスポットを紹介するガイドブックなどで発信したのがきっかけ。30年前には、その環境の良さから県内外から大勢の人でにぎわっていた。人見事務局長によると、ピークは東日本大震災前年の2010年で、サーフィンを目的に海沿いの物件に興味を持つ人も多かったという。
多くの人が訪れるようになったものの、市は駐車場整備やトイレ新設といったインフラ整備を実施してこなかった。さらに、2015~17年度にかけて同地に整備された防潮堤の影響で、駐車場に使われている未舗装未区画の敷地の水はけが悪くなった。「ひどい時にはそこの半分以上が水たまりで使えなくなった」(人見事務局長)こともあるという。今年6月のサーフィン大会では前日の雨を受けて、同敷地に多くの水たまりができた。市の担当者らがポンプで排水し、駐車スペースを確保したほどだった。
トップサンテ下の整備ができないのは、同地が国有地であることが理由のようだ。市は約3年前、トップサンテ下周辺の土地を国から借りて整備を行うことを計画していた。しかし、貸借では整備することが認められず、用地を取得する必要に迫られたため、計画は立ち消えた。市商工観光課の担当者によると、現時点でトップサンテ下を整備する計画はないという。
人見事務局長はこれまで、環境改善に向けて民間でできることを一通りチャレンジしてきたが、効果が出ていないことを説明。トップサンテ下にインフラを整備すれば、今まで以上にサーファーが訪れ、新たな観光資源になる可能性を示唆し、「鉾田の名誉のためにも整備をしてほしい。まずは現状を知ってもらいたい」と訴える。