被災情報 自動収集し発信 日立市が新システム 茨城

茨城県日立市は水害や地震などの災害発生時に被災情報を自動収集し、市民に発信する「総合防災情報システム」を導入し、22日、概要を公表した。災害対策本部を設置した市役所で市内24カ所のカメラ映像をリアルタイムで確認でき、現場職員から集めた情報をまとめて市民向けの配信も行う。導入は県内自治体で初めてで、9月1日から本格運用を始める。市は被災情報を速やかに把握し、初動対応に生かす構え。
市防災対策課によると、2023年9月の台風13号に伴う豪雨災害で市内河川が氾濫し、住宅や市役所への浸水が起きたことを受け、システム導入を検討。当時、重複した情報の選別や把握で混乱があり、情報の収集、発信体制の再構築を進めてきた。新システムでは、デジタル技術を生かして、情報を素早く効率的に取り扱う。
システムは、災害対策本部で使う高精細の大型画面(55インチ8面分)や市内24カ所に設置したウェブカメラで構成する。予算額は約9900万円。
河川情報センターなどの外部機関から水位や警報・注意報を含む情報をオンラインで集めるほか、職員が避難所や実際の被災現場の状況をタブレット端末で送信。さまざまな情報をクラウド上で管理し、地図や画像、文章で表示する。
ウェブカメラは、台風13号で住宅被害の大きかった13河川に計16カ所、道路に8カ所を設けた。ユーチューブを通じてリアルタイムで水位の上昇を見ることができる。赤外線内蔵で夜間も対応する。
市はこれらの情報を基に、避難所開設や災害対応の優先度を判断。市民向けには「防災ウェブポータル」に情報を掲載し、一覧できるようにする。公式交流サイト(SNS)にも一括配信。市民はスマートフォンのアプリを取り込むことで、ウェブポータルを利用できる。
同課の小林利行課長は「システムの導入により、飛躍的に情報管理を迅速化できる」と強調した。