原発処理水海洋放出2年 「輸出再開へ働きかけを」 茨城県漁業関係者が要望
東京電力が福島第1原発にたまる処理水の海洋放出を開始してから24日で2年となった。これまでに約11万トンを海に流したが、放出前に敷地に約千基あった保管タンクのうち解体したのは11基にとどまる。周辺の海水などに異常は確認されず、中国は放出を受け停止していた日本産水産物の輸入を再開すると今年6月に発表した。ただ、茨城県や福島など10都県産は引き続き対象外で、日本政府は早期の規制撤廃を求める。
茨城県沖で国が実施するモニタリング調査で、処理水に含まれる放射性物質のトリチウム濃度は放出前と変わらない状態で推移している。
世界保健機関(WHO)は飲料水に含まれるトリチウム濃度の基準指標を1リットル当たり1万ベクレルと定めているが、県原子力安全対策課によると、同調査では検出下限値未満か大きく下回っている。
ただ、中国と香港による茨城県水産物の輸入規制は続いており、茨城沿海地区漁業協同組合連合会(茨城漁連)は「ナマコに影響が出ている。(取っていた漁師は)収入減になる」としている。
禁輸措置の撤廃について、県水産加工業協同組合連合会は「上部団体を通じて水産庁に働きかけている」と説明。県漁政課も「大きな問題」として、今後も国に要望する方針だ。
東京電力によると、輸入規制に伴う賠償請求は中国や香港向けのホタテとナマコが多いという。
茨城漁連の飛田正美会長は「(輸出の)早期再開に向けて国による働きかけを強めてもらいたい」と要望。海洋放出は長期に及ぶ事業として「引き続き、国と東京電力の対応を注視していく必要がある」とコメントした。