《 2025茨城県知事選》候補者アンケート 政策訴え三者三様

■大井川氏 もうかる農業実現/田中氏 医療費負担を軽減/内田氏 原発の安全担保を
9月7日投開票の茨城県知事選で、茨城新聞社は現職の大井川和彦氏(61)=自民、国民民主、公明推薦=と、ともに新人の田中重博氏(78)=共産推薦=、内田正彦氏(51)の3候補に県政の課題などについてアンケートを行った。人口減少や農業政策などの質問に対する各候補の考えを比較した。
■深刻化する人口減
県人口は今年4月、279万5677人となり、36年ぶりに280万人を下回った。物流の停滞が懸念された「2024年問題」をはじめ企業の担い手不足は深刻で、対策は待ったなしの状況にある。
大井川氏は、「多様性を認め合う社会」を公約に掲げ、外国人を念頭に国内外から選ばれる県づくりの必要性を強調する。「豊かで経済力のある社会を構築し、安心安全につながる生活基盤を確保する」ことで、多彩な人材確保につなげていく考え。
田中氏は、福祉や教育環境の充実による対策を挙げる。教育予算の拡充を図り「授業料など全ての教育費を無料にすることで、子どもを産み育てる環境整備」を訴える。医療費負担の軽減も進め、「お金がなくても子育てできる社会にすべき」と指摘する。
内田氏は、歯止めがかからない人口減少への対策の難しさを指摘しつつ、「インフラなどで対応するしかない」との考えを示す。
■食料の安定供給へ
茨城県は都道府県別農業産出額が7年連続で全国3位となるなど、全国有数の「農業県」。昨年から続いたコメ価格の高騰など、食料の安定供給や生産体制の継続は課題だ。
大井川氏は、「茨城県農業の持続的な発展には収益性を高め十分な所得が得られる」体制が必要とする。規模拡大による生産性向上、ブランド化や輸出による販路拡大を進め、「もうかる農業」の実現を主張する。
一方で田中氏は、「もうかる農業」からの転換を訴える。関連予算を増やし、小規模や家族経営への支援強化を説く。手厚い所得や価格への補償を進め、「担い手育成へ、新規就農者支援を拡充する」とした。
内田氏は大井川県政による経営規模の拡大に賛意を示す。その半面、「高齢の農家からは、相応の価格」での買い取りなどを検討する。
■再稼働も分かれる
運転停止中の東海第2原発の再稼働についても、意見は分かれた。
大井川氏は、再稼働について中立の姿勢を維持する。判断には安全性の検証や実効性ある避難計画の策定を前提として挙げる。最終的には「県民への情報提供を行い、県民、市町村、県議会などの意見を聞く」としている。
田中氏は、明確に反対の意思を示す。既に策定済の自治体の避難計画に対し「複合災害を前提にしていない」と批判。避難についても「自家用車が原則で、運転できない人のためのバスも運転手も用意できていない」とした。
内田氏は中立の立場。判断について「どちらかというと賛成だが、安全担保が条件」との考えを示した。