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ボタンエビ養殖技術開発 茨城県水産試験場 国内初 新ブランド創出へ

ボタンエビの養殖を担当する技師の水谷宏太さん=ひたちなか市内
ボタンエビの養殖を担当する技師の水谷宏太さん=ひたちなか市内
出荷サイズに育った養殖ボタンエビ
出荷サイズに育った養殖ボタンエビ


茨城県水産試験場(同県ひたちなか市平磯町三ツ塚)は、国内初となる高級エビ「ボタンエビ」の養殖技術開発に成功した。27日、同試験場で成果発表を行った。「常陸乃国まさば」に次いで2件目となる新たな養殖ブランド創出に向け、さらに研究を重ねる。2026年度からの試験出荷を目指す。

ボタンエビは茨城県では主に9~12月に漁獲され、年間漁獲量は3~5トン。身は甘くて食感がよい。天然ものは、量が少なく希少価値が高いため1キロ当たり3000~4000円で取引され、1万円台の値が付くものもあるという。

県は21年度から、気候変動への対応や漁師者の収入安定に向けて、養殖事業に本格的に取り組んでいる。ボタンエビも同年度から、同試験場栽培技術センターで養殖を開始した。

同試験場では約5年かけて、養殖で使える稚エビの「種苗」の生産技術と、養殖技術を開発。種苗の生産技術では、天然の抱卵エビを採集して親エビと共に卵を管理し、稚エビをふ化させる技術を確立した。養殖技術では、稚エビを育てるのに最適な水温や餌を特定。水をきれいにしながら育てる「半閉鎖式循環養殖システム」で陸上養殖する技術を開発した。

今夏前までに初めて出荷サイズ(体長10センチ)まで18匹が育った。担当した定着性資源部の水谷宏太技師(31)は「夏場の水温維持が一番大変で、換気や打ち水もした」と、開発グループの技術確立への努力を振り返った。

今後、保冷コンテナでの技術実証や、生産コスト削減の試験を実施。27年度以降、県内での事業化を目指す。



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