石井章議員事務所を家宅捜索 地元・取手に衝撃 茨城

茨城県取手市が地元の「日本維新の会」石井章参院議員(68)=比例=が27日、詐欺の疑いで東京地検特捜部の捜査を受けた。取手市内の事務所などで家宅捜索が行われ、住民や関係者らに衝撃が走った。
東京・永田町の石井章参院議員の議員会館事務所では、午前10時20分ごろから家宅捜索が行われた。石井氏の秘書の立ち会いの下、係官が頻繁に出入りし、午後4時30分ごろにスーツケースやダンボールを事務所から運び出した。
取手市片町の事務所でも午前から行われ、報道陣約20人が集まり騒然とした。事務所内はカーテンが閉められ、外からは様子をうかがえなかった。
時折、通行人が記者らに「何があったんですか」と尋ねていた。捜索は午後7時ごろ終え、係官約10人が、押収品の入った段ボール箱十数個や複数のスーツケースを車両に積み込んだ。
同事務所は報道陣の取材に応じなかった。
■「説明を」「情けない」 市民、驚きと怒り
石井章参院議員は、勤務実態がないのに公設秘書を採用したと届け出て、国から給与を不正に受け取った疑いが持たれている。
東京・永田町の石井氏の議員会館事務所に関し、ほかの参院議員事務所の秘書は「男性秘書がいるという話を聞いたことがあるが、普段からドアが閉まっていた。人が出入りしている様子がないとうわさになっていた」と話した。
家宅捜索を受けた取手市片町の事務所の周辺地域では、石井氏の看板やポスターが多く見られた。
石井氏の支持者という同市の50代女性は、応援してきた人は残念でならないだろうと語り、疑惑に対して「きちんと説明しないと地域の人たちは納得いかない。本人から直接どのような話が出るのか見守りたい」と注視した。
事務所前を通りかかった市内の男性(90)は「市民として情けない」と険しい表情を見せた。
ある後援会関係者は「先生(石井氏)を信じて、なじみのない維新が根付くようチラシを置くなど協力してきた。間違いであってほしい」と話した。石井氏に投票したという男性(38)は「俺の一票は何だったんだ」とあきれた様子だった。
石井氏をよく知り、選挙を手伝っていた地元議員は、茨城新聞の取材に対し「関係者からたくさんの問い合わせがあるが、事情は分からない。不正があったなら驚きだ」と答えた。
■長田氏「ショック」 茨城維新幹事長
茨城維新の会代表を務める石井章参院議員の事務所の捜索を受け、同会幹事長の長田麻美県議が27日、同県水戸市笠原町の県議会議事堂で記者団の取材に応じた。石井氏の秘書給与の不正受給が事実であれば「きちんと会内部で協議し、今後(の体制)を決めていきたい」と述べた。
長田幹事長は、記者団から捜索を受けたと知らされ「ショック。クリーンな政治を訴えてきたので」と驚きと戸惑いを隠さなかった。
■たたき上げの親分肌 町議から国政へ、失言も
東京地検特捜部の捜査を受けた日本維新の会の石井章参院議員(68)=比例=は旧藤代町議や取手市議を20年近く務め、国政に進出した「たたき上げ」として知られる。人脈も豊富で「親分肌」と評される一方、女性候補に「顔で選べば1番」などと発言して問題になった。選挙では潤沢な資金力が垣間見える活動をしていたという。
石井氏は2009年の衆院選で旧民主党から出馬し初当選。消費増税に反対し12年に同党を除名され、その後落選。16年参院選におおさか維新の会から比例で出馬し国政に返り咲いた。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に関しては「納得が得られるまで、政治とカネの問題を追及する」などと話し、クリーンな政治を目指す姿勢を見せていた。
一方、22年には日本維新の会から参院に立候補予定の新人女性の事務所開きで「顔で選んでくれれば1番を取る」なとど発言をして批判を浴び、謝罪に追い込まれた。
維新関係者によると、地元の取手市内には石井氏のポスターが多数貼られ、事務所には街宣車を数台所持。県支部には資金を提供して、そろいのポロシャツやのぼり旗などの作成を指示していたとされる。
参院選では同じ維新比例から出馬して初当選した長女の石井めぐみ氏の支援に奔走。関西以外で組織力が弱い維新で、各地の支部の活動を資金力で支えたとも言われていた。
ある県議は「お金の面で危なっかしいうわさが多い」と顔をしかめた。