茨城空港 ビジネス機受け入れ促進 ツアー企画、環境整備

茨城県は茨城空港(同県小美玉市)でビジネスジェットの受け入れに力を入れている。仕事や旅行などの目的で富裕層や企業が利用するビジネスジェットは定期便と異なり、利用者の予定に合わせて発着時間や目的地を自由に調整できるメリットがある。同空港のさらなる利用促進に向け、需要を取り込もうと、ビジネスジェットを活用したツアー企画や施設整備など受け入れ体制を強化する方針だ。
同空港は2023年10月、民間機の発着枠を原則「1時間1着陸」としてきたルールが緩和され、受け入れが可能になった。
県が7月に発表した同空港の利用拡大に向けた将来ビジョンは、新たな観光やビジネス需要を創出するため、ビジネスジェットの受け入れ強化を打ち出している。
旅行会社の「スカイトレック」(東京)などが昨年5月、試乗会を企画して初めて運航。今年6月8日にも、同社などが茨城-成田両空港を3往復する宣伝飛行を行ったが、現状で利用はこの2回にとどまっている。
一方で、県空港対策課によると、近年ビジネスジェットの需要は増加傾向にあり、茨城空港に近い羽田と成田両空港では、時間帯によっては利用者が集中して混雑し、希望の時間に利用できないことがあるという。
同課の担当者は「首都圏に近い茨城空港が新たな選択肢になり、選んでもらえるようにしたい」と話し、需要の取り込みに力を入れている。
県はビジネスジェットの運航会社や金融機関を通した県内企業などへのPRを強化。同時に旅行会社とビジネスジェットを使って富裕層に人気があるゴルフ場でのプレーを楽しめるツアーを企画した。国営ひたち海浜公園(同県ひたちなか市)のネモフィラに代表される「花絶景」など、茨城県の観光コンテンツを活用したツアー構築も目指す。
需要動向を見極めながら、同空港内に専用の待合室や各種手続きができる場所を確保し専用の動線を設けるなどして受け入れ環境を充実させる。
同課の担当者は「まずは茨城空港でも発着できることを多くの人に知ってもらった上で、利用実績を増やしていく」と話した。