廃油を航空機燃料に再利用 水戸市で実証事業開始 茨城

料理で使った廃油を家庭から集め、燃料として再利用する実証事業が茨城県水戸市で始まった。市役所と市内のスーパー2店に油の回収拠点を設け、回収用のボトルの受け渡しを行う。民間企業との協定に基づく取り組みで、将来的には持続可能な航空機燃料(SAF)への再利用を目指す。事業は、来年3月末まで。
実証事業に取り組むのは、市と石油元売りのENEOS(エネオス、東京)、油リサイクルの吉川油脂(栃木県佐野市)の3者。市が市民への呼びかけを担い、吉川油脂が集まった油を買い取る。エネオスは2028年度の新工場完成以降、集まった油でSAFを製造する。市は最適な回収場所や必要なボトルの本数などを調べるという。
回収拠点は、イオンスタイル水戸内原(同市内原)とマルト元吉田店(同市宮内町)のサービスカウンター、市役所3階の市環境保全課の3カ所。各拠点にボトルを400本ずつ用意した。拠点で回収用のボトルを受け取り、家庭で出た油を入れ、拠点へ持ち込む。
回収できるのは、サラダ油やごま油、ひまわり油といった液体の植物油。牛脂や豚油、鉱物油は回収できない。ヤシ油やパーム油も不可という。
SAFは環境負荷の低い燃料として世界で注目が集まる。食用油の主な原料となる植物が生育の過程で吸収する二酸化炭素量などを考慮すると、従来のジェット燃料より二酸化炭素の排出量が約6~8割少ない。輸入に頼ってきたジェット燃料を国内で生産できるようになるのも特徴という。