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茨城港を「首都圏の玄関口」に 県が長期構想策定 発展へ改善4点 物流・環境・観光・防災

茨城県庁=水戸市笠原町
茨城県庁=水戸市笠原町


茨城県が茨城港(日立港区、常陸那珂港区、大洗港区)の20~30年後を見据えた「茨城港長期構想」を策定した。①物流拠点②環境保全③観光誘致④災害対策-の四つを改善点に挙げ、「首都圏の玄関口」に発展するための方向性として人工知能(AI)の活用や大型クルーズ船受け入れに向けた整備を盛り込んだ。県は構想の実現に向け、具体的な内容を定める「茨城港港湾計画」の改訂に着手する方針。

有識者や関係市町村、業界団体の代表者らで構成する「茨城港長期構想検討委員会」が昨年5月から4回にわたり議論。パブリックコメント(意見公募)を経て7月2日に策定した。

構想では、物流の拠点化に向けてニーズの高い東南アジアに直行する航路の開設に取り組む。日立港区と常陸那珂港区は、需要を踏まえて岸壁や荷さばき地を確保し、港湾を利用する企業を誘致する。

貨物輸送を車両から船舶や鉄道に切り替える「モーダルシフト」に対応するため、情報通信技術(ICT)を組み合わせた港湾にする。具体的には、トラックやトレーラーが自走で船内に乗り込めるRORO船で積み降ろしする荷台(シャシー)の配置管理や、船の係留の自動化を図る。

AIはコンテナの内容や搬出日時などを分析し、配置場所を最適化する。また、荷物を積み降ろしするクレーンの遠隔操作や自動化にも活用する。

「環境に配慮した港湾」を目標に、2030年の温室効果ガスの排出量を13年比で46%削減する。50年には実質ゼロにする。燃焼時に二酸化炭素を出さない水素やアンモニアの活用を見据え、次世代エネルギーの供給拠点を整備したり港湾の電化を進めたりする。

観光では、新たに常陸那珂港の南側を大型クルーズ船の受け入れエリアに設定。大洗港区では県の「ひたちなか大洗リゾート構想」を踏まえ、官民連携でカフェやオートキャンプ場などを整備し、観光客と地域との交流拠点にする。

災害対策は、南海トラフ巨大地震や首都直下地震といった大規模災害に備え、岸壁などの施設や道路の耐震強化を推進。関東圏の産業や生活の維持に貢献できるようにする。

現在の茨城港港湾計画は09年に策定。茨城港はデジタルトランスフォーメーション(DX)推進や50年のカーボンニュートラル実現など社会情勢の変化に対応するため、同計画の改訂と、その土台となる長期構想の策定が求められていた。

県港湾課の担当者は「課題がしっかり盛り込まれた構想ができた。茨城港は首都圏を支える港湾。利用者の使い勝手の良い港とするため、港湾計画の改訂を進めたい」と話した。



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