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「ばあば、僕の髪あげる」 髪寄付、祖母にウィッグ 水戸の小5男児・木村さん 3年半で47センチ、闘病励ます 茨城

ウィッグを着けた吉田千賀子さん(右)と孫の木村尊さん=つくば市内
ウィッグを着けた吉田千賀子さん(右)と孫の木村尊さん=つくば市内
髪を切る前の木村尊さん(家族提供)
髪を切る前の木村尊さん(家族提供)


病気などで髪の毛を失った人に役立ててもらおうと、茨城県水戸市の木村尊さん(11)=常磐小5年=が医療用ウィッグ(かつら)に必要な髪の毛を寄付する「ヘアドネーション」に取り組んだ。約3年半で長さは47センチまで伸び、提供先には大好きな祖母も含まれていた。

木村さんがヘアドネーションを始めたのは小学1年の夏。新聞で小学生の取り組みを知り、「自分もやりたい」と決意。医療用ウィッグを無償提供する大阪府大阪市のNPO法人「ジャーダック」への寄付を考えた。

最低31センチが必要なところ、あえてロングヘア用の50センチを目指して開始したが、苦労は想像以上だった。髪がぬれるとずしりと重く、首が疲れた。木村さんの髪は細く、絡まることもしょっちゅう。髪をとかすたびに痛みが走り、何度も髪を切ろうと思ったが、病気と戦う人たちのことを考え、踏みとどまった。

ヘアドネーションが木村さんにとって身近な問題になったのは昨年9月。近くで暮らす祖母、吉田千賀子さん(66)の急性骨髄性白血病が判明。すぐに母親の菜津美さん(40)と病室に駆け付けた。

抗がん剤治療が始まると髪が抜けることは知っていた。「ばあば、僕の髪をあげるから頑張って」。言葉が自然に出ていた。

2月に同県つくば市の美容室で髪を切った時、長さは47センチまで伸びていた。3分の2を祖母のために、残りはジャーダックへ送った。

吉田さんは治療に専念し、5月に寛解を迎えた。6月には待望のウィッグも完成し、同県つくば市の美容室で初めて手にした。

人毛のウィッグを1体作るには30~50人分の提供が必要とされ、木村さんの髪は生え際部分などに使われた。

「孫の髪を使えるなんて本当に幸せ。見た目も若返った。わたしのお守りです」とうれしそうな表情を浮かべた吉田さん。

木村さんは「髪を伸ばすのは大変だったけれど、喜んでもらえてうれしい。中学生になったら、またチャレンジし、困った人の力になりたい」と笑顔で話した。



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