日立で突風、車2台横転 台風15号 茨城県内大雨、避難指示も


茨城県内は5日、台風15号の影響で大気の状態が非常に不安定となり、各地で激しい雨が降った。日立市では突風が吹き、乗用車2台が横転した。水戸市は飯富地区の一部世帯に「高齢者等避難」を発令し、避難所を開設。笠間市では避難所2カ所を開設し、1人が避難した。各地で道路冠水による通行止めなどがあり、交通機関も大きな影響を受けた。
日立市消防本部などによると、5日午後1時40分ごろ、日立市大みか町のJR大甕駅前の西口駐車場で乗用車2台が横転し、消防隊員らが現場を確認した。乗車していた人はおらず、けが人はなかった。
水戸地方気象台によると、当時、大雨とともに突風が発生。車は駐車中に吹き飛ばされたとみられ、屋根を下にしてひっくり返り、前面や側面の窓が割れた。県警日立署によると、他の車6台にも接触したとみられる痕跡が見つかった。
横転した車の所有者の男性(72)は「警察から連絡を受けて駆け付けたら、車が倒れていて驚いた。もし乗っていたらと思うと怖い」と声を震わせた。
突風を目撃したという近くの大学の警備員男性(60)は「大きな風の音がして外を見たら、正門のところで風雨が渦を巻き、細い竜巻状になった。そのまま駐車場に進み、車が宙を舞った。隣の車の屋根くらいの高さまで上がっていた」と振り返った。
発生当時、同駅構内にいたといういずれも大学1年、小椋埜ノ葉さん(18)と三津田真子さん(18)は「雷みたいな音がした。風が地下にも入り込み、立っていられないくらいだった」と状況を語った。
同市防災対策課によると、市内では道路冠水による車両1台の浸水や倒木が発生。十王地区で総降水量が96ミリを超えたため、県道日立山方線が午後4時半から通行止めになった。
■笠間で64.5ミリ
県内は、各地で激しい雨が降った。水戸地方気象台によると、午後8時までの1時間雨量は、笠間市で64.5ミリ、常陸太田市で54.5ミリと9月の観測史上最大の非常に激しい雨となった。
笠間市では、涸沼川の水位上昇に伴い2カ所で避難所を開設、1人が避難した。同5時15分に雨が上がったことを確認し、閉鎖した。
水戸市は5日夕、土砂災害警戒情報の発令を受け、飯富地区の19世帯42人を対象に「高齢者等避難」を発令し、同市飯富町の飯富市民センターに避難所を開設。同日午後4時半ごろ、大雨警報の解除を受けて発令を解除した。市によると、同センターへの避難者はいなかった。
■279校が短縮授業
県内の学校は、県立高1校と私立専修学校1校の計2校が臨時休校としたほか、公私立の小中高校等計279校が短縮授業となった。
県教育委員会によると、短縮授業となったのは、市町村立の小学校が156校、中学校が75校、義務教育学校が4校。県立では中学校が1校、高校が27校、中等教育学校が1校、特別支援学校が4校。私立では中等教育学校が1校、高校が6校、専修学校が4校だった。
■鉄道で運休や遅れ
JR水戸支社によると、雨量計が規定値を超えたため、水戸線と水郡線に運休と遅れが出た。水戸線は下館-友部駅間で午後0時52分から運転を見合わせた。倒木と土砂崩れのため最終列車まで上下29本が運休した。水郡線は水戸-常陸大子駅間と上菅谷-常陸太田駅間で同1時10分から同6時51分まで運転を見合わせた。上下16本が運休したほか、5本が最大約2時間半遅れた。
常磐線では日立-小木津駅間で同4時57分ごろ、巡回中の社員が架線に触れそうな倒竹約6本(それぞれ長さ約5メートル、太さ約15センチ)を発見。竹の撤去や設備の確認のため日立-高萩駅間で同7時56分まで運転を見合わせた。特急を含む上下7本が最大49分遅れた。