《2025茨城県知事選》田中氏「私の力不足」/内田氏「早く勇気出していたら」

■田中氏 現職の高い壁阻まれ
三度目の正直とはならなかった。「県民の命と暮らし最優先」を掲げ、県政の転換を訴えた田中重博氏。2013、21年に続く知事選への挑戦だったが、またも現職の高い壁に阻まれた。
午後8時ごろ、現職当選の報に、水戸市白梅の選挙事務所は落胆ムードに包まれた。擁立した市民団体「いのち輝くいばらきの会」役員と記者会見に臨んだ田中氏は「残念な結果。私の力不足だった」と悔しさをにじませた。
敗因について「組織力が十分でなく(現職批判を)広く浸透させられなかった」とし、出馬表明の遅れが影響したとの認識を示した。現職に対し「これまでの県政を点検し、ただすべき点は是正すべきだ」と求め、県民らが県政を監視していく必要性を訴えた。
選挙戦では週刊誌などが報じた現職の「パワーハラスメント疑惑」を追い風に、対決姿勢を鮮明にした。大型公共事業のほか、不要不急の救急搬送で徴収する「選定療養費」などの批判を展開した。
同会の候補者選考は前回21年に続き難航した。田中氏の出馬表明は告示まで1カ月を切った段階まで出遅れ、幅広い有権者に主張を広げられなかった。
■内田氏 準備不足を痛感
県職員の国籍要件撤廃の見直しや土葬墓地反対などを柱に「県民ファースト」を掲げた内田正彦氏。午後8時ごろ、坂東市内の実家に「大井川和彦氏の当選確実」との知らせが伝わると、「もう少し準備していれば(結果は)変わったかもしれない」と肩を落とした。
動画のライブ配信で「力が至らなかった。もう少し早く勇気を出していたら」と敗戦の弁を述べ、支援者に「お疲れさまでした。本当にありがとうございました」と伝えた。報道陣に対して敗因を「認知力」と説明し、「組織票に負けない認知力があったら」と悔やんだ。
同9時ごろに想像以上の得票数があったことを知り表情が和らぎ、「報われた」と笑みを浮かべた。要因については、交流サイト(SNS)活用や外国人施策の面での他候補との明確な違いを挙げた。
告示前日に立候補を表明するなど、準備不足が響いて出遅れた。SNSの積極的活用で、選挙中盤から終盤にかけては選挙戦を支えるボランティアが多数集まり、街頭演説の聴衆も増え支持を広げた。今後について「県議選などへの出馬を検討していく」と語った。