山田村長「住民の声大事」 東海第2再稼働判断 周辺5市と丁寧に議論 茨城

日本原子力発電(原電)東海第2原発(茨城県東海村白方)の再稼働を「必要」と訴え、7日の村長選で4選した山田修村長が22日、茨城新聞の取材に応じた。将来的な再稼働の判断に向け、「全ての村民の意見を大事にする姿勢は変わらない」と強調。今後も住民の意向把握に努めていく考えを示した。広域避難計画の実効性向上や再稼働への「実質的事前了解権」を持つ周辺5市との議論も丁寧に進めるとした。
選挙結果については、原子力政策を含めた村政運営全体を評価してもらったとする一方、「住民の意向把握を終えたことにはならない」との見解を示した。
投票率が46.49%と過去最低だった上、自身に投票した村民の中にも再稼働にさまざまな思いを持つ人がいるとの認識を示した。「再稼働に不安を感じている人や慎重な意見を持つ人にどれだけ丁寧に答えるかが大事になる」と同計画などの防災対策を説明していく。
村は2023年に同計画を策定したものの、実効性の向上が課題になっている。具体的には自力避難が難しい住民のためのバスや福祉車両の確保、地震や津波などが同時に発生する複合災害対策などを挙げた。
実効性を上げるには、村だけでは解消できない事項が多いため、「国や県には引き続き課題の解決を進めてほしい」と求めた。
18年に原電と結んだ新安全協定により、村とともに再稼働への実質的な事前了解権を持つ5市との議論も重要さを増す。「各首長が意見を言いやすい環境をつくり、再稼働の是非の結論を出すまで慎重かつ丁寧に進めたい」と述べた。
東海第2では22年9月以降、火災が相次ぎ発生。原電は8月、村と県に再発防止策をまとめた最終報告書を提出したが、「原電は今、住民の信頼は得られていない」と指摘。「社員や協力会社を含めて現場の隅々に安全意識を浸透させることが大事だ」とし、報告書で示した各種対策の着実な実行を求めた。