筑波大病院が膵腎同時移植 国内初から41年ぶり 重度の糖尿病患者に 茨城
筑波大付属病院(茨城県つくば市天久保)は24日、県内の30代男性患者に対し、脳死と判定された島根県の20代男性から提供された膵臓(すいぞう)と腎臓の同時移植を実施したと発表した。男性患者は順調に回復しているという。同病院での膵腎同時移植は1984年に国内で初めて実施して以来、41年ぶり。重度の糖尿病患者に対して行われる同時移植の再開に向け、同病院は体制強化を進めていた。
同病院によると、30代男性患者は、膵臓のインスリン分泌機能が失われる「1型糖尿病」を19歳で発症し、約3年前からは慢性腎不全も合併。インスリン注射や週3回の血液透析などが必要だった。ドナーとして臓器提供した20代男性は、島根大医学部付属病院(島根県出雲市)で18日に脳死判定された。
筑波大付属病院は臓器提供の連絡を受け、20日に膵臓と腎臓の摘出手術を島根大医学部付属病院で実施。その後、臓器を搬送し、同日から21日未明にかけて筑波大付属病院で9時間12分に及ぶ移植手術を行った。外科医14人を含む計約20人のチームが組まれた。
同病院では1984年9月、消化器外科の岩崎洋治教授(当時)らが、国内で初めて膵腎同時移植を実施。当時は脳死の定義や臓器提供の法制度が未整備だったため、社会的に議論が巻き起こり、97年の臓器移植法施行や、日本臓器移植ネットワーク整備のきっかけとなった。
その後、同病院で膵腎同時移植は実施されていなかったが、消化器・移植外科の小田竜也教授が中心となり、2019年から準備開始。医師や看護師、薬剤師などで構成するチームをつくった。22年には、茨城県内初となる膵臓移植認定施設の認定を受けた。
日本臓器移植ネットワークによると、膵腎同時移植の待機期間は平均3年4カ月。臓器移植は、移植を希望する登録者の数が増える一方、待機している間に亡くなる患者も多い。
今回、チームリーダーを務めた小田教授は記者会見で「医学を担う者の使命として、やらなければいけない」と今後の継続的な実施を見据えた。












