体育館空調設置進む 茨城県内公立小中校 23.9% 市町村でばらつき
茨城県内公立小中学校の体育館などへの空調設備の導入が進んでいる。県教育委員会の調査によると、7月1日時点の設置率は23.9%。昨年3月31日時点の10.9%に比べ13ポイント上がった。ただ、多くはスポットクーラーなどで、空間全体を調整できる固定式エアコンの設置は進んでいない。設置率はさらに上昇していく見通しだが、費用面などに課題があることから、現状で導入は市町村ごとにばらつきがある。
県教委が県内の公立小中学校の体育館や武道場などを対象に、空調設備の設置状況を調べた。各市町村にある体育館などの保有室数と、実際に空調設備を導入した設置室数を取りまとめ、設置率を算出した。
調査結果によると、市町村別では、県内44市町村のうち31市町村が一部設置を含めて導入済み。残り13市町は未設置だった。県全体の保有室数807に対し、設置室数は193だった。昨年3月時点では保有室数805に対し、設置室数88だった。
設置率が100%に達しているのは、石岡市(25室)▽鹿嶋市(20室)▽茨城町(8室)▽東海村(10室)▽美浦村(1室)▽河内町(1室)▽境町(9室)-の7市町村。ただ、導入内容を見ると、スポットクーラーや冷風機など移動式が多くを占めている。
国の調査によると、今年5月1日時点の全国平均設置率は22.7%。
文科省は体育館などの空調整備を加速させるため、2033度までの期間で補助制度を設けている。空調新設に関する費用の2分の1を補助。地方交付税措置を合わせると、地方負担は25%に軽減される。
ただ、制度活用には断熱性の確保が必須で、県内では要件を満たさない体育館などが多い。空調新設のほか、断熱性を確保するための工事費も課題となる。未設置の自治体は取材に対し「財政が厳しく普通教室や特別教室への設置を優先している」「国の補助金を活用しても負担はかかる」などと話した。
一方、現在未設置の水戸市(63室)は、28年度末までに市立小中学校の体育館全てに固定式エアコンなどを導入する計画がある。ほかの未設置自治体でも、今年中にエアコン以外の冷暖房設備を導入するところがあり、設置率自体は今後上昇する見通しだ。
県教委は、体育館などへの空調導入を児童生徒の熱中症対策として重要視。さらに多くが災害時の避難所に指定されていることから、避難所の生活環境を整える観点からも必要性を指摘する。これまでも、県防災・危機管理部と連携し市町村にさまざまな働きかけを行っており、設置率は上昇傾向にある。
県教委は「今後も引き続き市町村に対して国の支援制度を活用し、小中学校体育館の空調設備設置の推進を働きかけていく」としている。












