上曽トンネル開通 県南西アクセス向上 石岡-桜川 茨城


茨城県石岡市と同県桜川市を結ぶ県内最長の上曽(うわそ)トンネル(3538メートル)が27日、開通した。関係者が完成を祝う開通式典は石岡、桜川両市で開かれ、午後3時に供用が開始された。交通の難所だった上曽峠に代わるトンネルの完成で、県南西地域の大幅なアクセス向上が見込まれる。
上曽トンネルは県道石岡筑西線の一部で、石岡市上曽と桜川市真壁町山尾を結ぶ。幅員9メートルの片側1車線道路として整備され、取り付け道路を含む総延長は5300メートル(石岡市2500メートル、桜川市2800メートル)に及ぶ。
両市を結ぶ唯一のアクセス道路だった上曽峠は、道幅が狭く急カーブが連続する交通の難所として知られる。冬季は路面凍結や積雪で度々通行止めになるなど、安全で円滑な交通の確保が地域の長年の課題になっていた。
トンネル整備事業は県が1990年に調査に着手。用地買収の遅れで一時中断を余儀なくされたが、両市が県の合併市町村幹線道路緊急整備支援事業の指定を受け、2018年2月に本体工事が再開された。総事業費は両市で計145億円。国補助金や合併特例債などを充てた。
開通によって物流の効率化や観光振興、災害時の代替路確保、茨城空港へのアクセス改善など、県南西の両地域にもたらすさまざまな効果が期待される。5年後には1日当たり6100台の交通量が見込まれている。
この日は石岡市側坑口でテープカットや交通安全祈願などを実施し、関係者らを乗せた車両が通り初めとしてトンネル内を走行した。桜川市側坑口近くの真壁福祉センターで開かれた開通式典で、大井川和彦知事は「非常に直線が多くて快適な道路になった。石岡、桜川の両市とよく相談しながら上曽トンネルを活用し、県のさらなる発展を目指していきたい」と祝辞を述べた。
■谷島洋司石岡市長の話 県全体の発展寄与
トンネルの整備効果は石岡、桜川両市にとどまらない。県内の地域間ネットワークの促進、県全体の発展に大きく寄与するものと確信している。
■大塚秀喜桜川市長の話 活性化の起爆剤に
桜川市と石岡市を結ぶだけにとどまらず、県西地域と県南地域、県央地域との交流や物流が盛んになり、地域経済にとって活性化の起爆剤となる。