常総水害10年 継承誓う 国、茨城県、7市町が式典

2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川の堤防が決壊し、茨城県常総市内が甚大な被害に見舞われた常総水害から10年の節目を迎え、国と県、常総市など7市町は28日、同市新石下の市地域交流センター「豊田城」で、「常総水害から10年~水害の記憶を未来へ~」と題した式典を開いた。水害の記憶や教訓の風化を防ぎ、流域治水の取り組みを浸透させるのが目的。主催者代表として同市の神達岳志市長は「防災の取り組みに終わりはない。国や県、市町の総力を挙げて次の世代にしっかりとつないでいく」と誓った。
常総水害は同年9月10日、同市三坂町の堤防が200メートルにわたり決壊するなどして鬼怒川が氾濫し、市全体の3分の1に当たる約40平方キロメートルが浸水。関連死を含め15人が亡くなり、5000棟以上の住宅が全半壊した。
国や県、同市など流域7市町は水害後、「鬼怒川緊急対策プロジェクト」を実施。ハード面で県内流域約44.3キロ区間で、関東・東北豪雨並みの雨量に耐えられる堤防の強化や河道の掘削を行った。決壊場所は、元の高さから約1.4メートルかさ上げされた。ソフト面では、逃げ遅れゼロを目指し、個人が事前につくる避難計画「マイ・タイムライン」推進や広域避難の仕組みづくり、防災教育の普及などに取り組んだ。
式典には、大井川和彦知事や国交省関東地方整備局の橋本雅道局長、自治体首長、地元選出の国会議員、市民ら約1350人が出席。防災力向上を目指して取り組んできた10年の歩みを映像で振り返った。神達市長が「行動宣言」を読み上げ、水害リスクを自分ごととして捉え自らの避難行動につながる取り組みを推進することや、地域コミュニティーを維持・発展させ地域防災力の向上に努めることなどを誓った。
シンポジウムも式典後にあり、講演会やパネルディスカッションなどが行われた。