つくば突風は竜巻二つ 風速45メートル、同時刻近距離発生 茨城


茨城県つくば市内で18日に発生した突風被害について気象研究所(同市)と水戸地方気象台(同県水戸市)は29日、竜巻などによるものだったと発表した。風速は推定約45メートル。竜巻は二つで18日午後2時53分から同56分までの間、建物の倒壊などがあったつくば市花室から上広岡までの2~3キロを移動した。複数の竜巻がほぼ同時刻に近距離で発生するのは珍しいという。
同市によると、今回の突風では2階建ての事務所兼倉庫が倒壊するなど家屋・建物の被害が34件に上った。ほかに農業関連の被害11件、倒木24件、足場倒壊2件など。同市花室から同市上広岡にかけて被害が集中した。
同研究所は、最新型の気象レーダーを用いた解析を実施。二つの竜巻が約2キロの間隔で発生していた。一つは同午後2時53分から約3分間かけて約3キロの距離を移動し、建物倒壊などの被害をもたらした。もう一つは同午後2時55分から約1分半かけて約2キロの距離を移動し、経路に沿って被害が確認された。
近くでは別の渦の発生も見られたが、突風の種類の解明には至っていない。
水戸地方気象台によると、竜巻の風速は約45メートルと推定。強さを6段階で示す改良藤田スケールでは、上から5番目の「JEF1」に分類した。
同研究所によると、竜巻発生当時は、同市上空を積乱雲が通過。積乱雲の前面に、突風の発生をもたらす「ガストフロント」が形成されていた。ガストフロントを伴う竜巻の観測例は少ないという。
今後は気象レーダーで得られたデータを基に、竜巻の発生メカニズムなどの解明につなげたい考え。同研究所台風・災害気象研究部・第四研究室の足立透室長は「高解像度で捉えた世界的に見ても貴重なデータ。防災に生かせるような知見につなげたい」としている。