茨城県の歳入歳出、3年ぶり増 財政、15年連続改善 24年度決算見込み

茨城県は2日までに、2024年度一般会計決算見込みの概要を発表した。歳入は物価高騰に伴う県税増などで前年度比63億円増、歳出も人件費が膨らみ同155億円増となった。歳入歳出とも、3年ぶりに増えた。財政健全化の指標となる「将来負担比率」は、県債残高の減少で同8.1ポイント減の157.9%となり、15年連続で改善。
県財政課によると、24年度の歳入は物価高騰により地方消費税が増えるなどし、前年度比0.5%増の1兆3486億円。歳出は人件費増や県立あすなろの郷の再編整備などで同1.2%増の1兆3209億円となる見通し。25年度への繰り越し分を除いた実質収支は150億円の黒字で、前年度より60億円減った。
歳入のうち、県税などの自主財源は8207億円で、前年度比146億円(1.8%)増えた。構成比は歳入全体の60.9%。歳出のうち最も構成比率が高かったのは、教育費の21.2%。次いで諸支出金14.3%、公債費11.6%。
県の借金に当たる県債の残高は2兆109億円で514億円(2.5%)減った。防災・減災・国土強靱化(きょうじんか)緊急対策事業債の増加で通常県債が25億円(0.2%)増えた一方、地方交付税を肩代わりする臨時財政対策債など特例的県債が539億円(5.9%)減少した。
公社や第三セクターを含む借金総額が県の年間収入の何倍かを示す将来負担比率は、09年度をピークに改善が続いている。前年の23年度は全国22位で、全国平均より17.3ポイント高かった。
県財政課は、将来負担比率などの指標が改善傾向にある半面、人件費や社会保障関連費など義務的経費の増加による財政構造の硬直化を懸念。その上で、「施策の選択と集中により効果的な投資を進め、茨城県の飛躍を図りたい」としている。