東京五輪銅、野口さん講演 中高生研修 世界大会誘致案議論も 茨城県教委育成事業

国際社会で活躍できる力を備えた人材を育成しようと、茨城県教育委員会は5日、同県水戸市内で、東京五輪スポーツクライミング女子複合銅メダリスト、野口啓代さんを招き、県内中学高校生の研修を行った。参加者約50人は野口さんの講演に耳を傾けたほか、競技の種類に関係なく世界大会の県内誘致を想定し模擬的に作り上げた複数のプレゼンを披露。野口さんが講評し、プレゼン技術に磨きをかけた。
研修会は県教委の次世代グローバルリーダー育成事業(NGGL)の一環で実施された。講演で野口さんは「夢をつかむ一手」をテーマに、自身の競技人生の経験などを講演した。クライミングとの出合いは、小学5年時に家族で訪れたグアムのゲームセンターで体験したのがきっかけと紹介。高校1年時に初めて出場した世界選手権で3位に入賞し、「世界一になる夢を見つけた」と語った。
国内外の大会で実績を積み、東京五輪でスポーツクライミングを正式種目にするためのプレゼンターも務めた。日頃から海外のアスリートと会話をしていたものの英語力は日常会話程度で、「プレゼンの内容で五輪種目にならなかったどうしようという気持ちもあった」と振り返った。種目決定後は安堵(あんど)の気持ちとともに、「絶対に自分も東京五輪に出場し、そこで引退したいという覚悟が決まっていた」と述べた。
質疑応答では、自分の苦手な部分に対する対応の仕方を問う質問に、「嫌いなものでも、楽しそうにやっている人に教わることで好きになれた」と語った。
世界大会の県内誘致のための議論では中高生がグループに分かれ、野口さんの助言を受けながら、茨城の特性や競技の特徴などを踏まえてプレゼン案を練った。あるグループは、サーフィン競技の誘致を提案。競技とともに茨城県の自然環境を映像で発信することで感動を与えられるとした。
参加した茗渓学園高2年の山田里奈さん(17)は「自分の苦手を克服していきたいとポジティブに考えられるようになった」と講演の感想を語った。