飯村丈三郎の功績継承 茨城・水戸 研究会設立10年でシンポ

明治-大正期に茨城県の近代化に貢献した同県下妻市出身の政治家、実業家の飯村丈三郎(1853~1927年)の功績を伝えるシンポジウムが12日、水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ会館で開かれた。約100人が参加し、飯村の幅広い活動への理解を深めた。
飯村丈三郎研究会と学校法人茨城の共催で、同研究会の設立10周年を記念して開催された。シンポでは茨城地方史研究会長の久信田喜一さんが飯村の生涯と功績について講演した。
その後、県天心記念五浦美術館長の小泉晋弥さんら識者4人が加わり、それぞれ最新の研究成果を発表し、議論を交わした。
その中で、久信田さんは同会が今年刊行した研究叢書(そうしょ)「飯村丈三郎日記」に触れ、当時(18~21年)の飯村が常総鉄道など複数の会社の要職を務めていたことを紹介。「資金をうまく活用し川崎財閥を支えた。茨城でいう渋沢栄一のような存在」と説明した。
茨城高教諭の加倉井東さんは飯村の教育事業をたどり、「若い頃から教育への関心は一貫していた。旧制茨城中創立はその集大成」と解説した。
飯村は県議会議長や衆院議員を歴任し、第六十二国立銀行再建や水戸鉄道敷設に尽力。茨城新聞社の2代目社長も務めた。岡倉天心や横山大観らの芸術家を支援し、旧制茨城中(現茨城中・高)を創設した。飯村丈三郎研究会の大津順一郎会長は「飯村を一人でも多くの人に知ってもらい、次の世代に継承したい」と話した。