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廃棄物が新製品に アップサイクル、茨城県内で拡大 消防制服をバッグ、ぬいぐるみに

日立市消防本部が制服をアップサイクルして開発したバッグ。ふるさと納税にも活用する=同市神峰町
日立市消防本部が制服をアップサイクルして開発したバッグ。ふるさと納税にも活用する=同市神峰町


廃棄物に付加価値を持たせて生まれ変わらせる「アップサイクル」の取り組みが、茨城県内の自治体と福祉団体などの連携で広がりを見せている。廃棄予定の消防服やパラグライダー生地、競馬のゼッケンといった多彩な素材を活用。バッグなどの製品に再生している。福祉作業所への製作委託やふるさと納税の返礼を使い、地域経済への貢献を図りたい考えだ。

日立市消防本部は、廃棄予定の消防制服を再生したアップサイクル製品2種類を売り出した。ぬいぐるみとバッグで、市のふるさと納税の返礼品を含め、一点物の製品として販売する。

職員が各部署で着る制服は7~15年に1度更新され、多くが処分される。2024年度が50着、本年度と26年度が各40着、廃棄予定だ。アラミド繊維という熱に強く、安全性が高いのが売りで、再生した場合も機能性は保たれる。同本部は他県での例を参考にアップサイクルに乗り出した。

■10分で売り切れ

バッグは高さ29センチ、幅38センチ、マチ15センチ。名称ロゴがそのまま使われ、側面や内側にはポケットがあり、消防の腕章を使ったミニポーチも付いている。

同本部の企画に対し、防災品を取り扱う企業が手を挙げ、デザインを練って製品化した。価格は約2万9000円。ふるさと納税の寄付金は10万3000円。

先行して開発した熊のぬいぐるみ「ヒノカミベアー」は、市内の福祉作業所に製作を委託。9月に発売したところ、開始10分で売り切れる人気に。現在200人分が予約されている。

同本部は「現場で使われた服を余すところなく使う。消防活動の物語も感じてもらえれば」と期待した。

■皆ハッピーに

県内では城里町の健康増進施設「ホロルの湯」が、廃棄予定のパラグライダーの生地を生かし、入浴用のスパバッグとエコバッグを開発した。昨夏の発売から1年で品目を8種、委託する福祉作業所を4カ所に増やした。売り上げの多くは工賃に回る。

発案者の杉山祐一さんは「共感してくれる人が増え、安定して売れている。作業所、販売者、購入者が皆ハッピーになれる」と指摘。販路拡大や販売増は課題だが、「製作には限度もあるので、まずは継続が大事」と語る。

馬の調教を行うJRA(日本中央競馬会)の美浦トレーニングセンター(美浦村)に関連し、同村や石岡市、坂東市では調教馬のゼッケンを使ったバッグなどの製作を福祉作業所が行っている。自治体はふるさと納税の返礼品に取り入れ、後押しする。

県内の福祉作業所の共同受発注を担う県心身障害者福祉協会(水戸市)によると、ゼッケンバッグは人気で注文は増加。昨年度はふるさと納税と直売を含め約300件あり、今年も昨年をやや上回るペースで推移しているという。

同協会はアップサイクルについて「ニーズを反映した製品を作れば、販売が増え工賃アップにもつながる。理解や広がりが出ることで、良い循環ができていくのでは」と強調した。

★アップサイクル

リサイクルを一歩進め、廃棄予定の物に新しい価値を付けて生まれ変わらせる取り組み。1990年代に欧州で提唱されたのが始まりとされる。元の素材を生かす工夫をして付加価値や希少性を持たせるのが特徴。持続可能な「循環経済」の一環でもある。製品は多種多様で、企業から自治体まで広がる。関係企業・団体でつくる一般社団法人も設立されている。



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