奨学生の資金不足 茨城県内申請、3割不採用 18日から水戸で街頭募金

病気や災害などで親を亡くした子どもたちの進学を支援する「第110回あしなが学生募金」(同事務局主催)が18日から、全国一斉に行われる。物価高などを背景に申請者数は増加傾向にあるものの、資金不足で本年度は4割超に支援が行き届いていない。茨城県も約3割が不採用となっており、県内奨学生は「後輩たちに進学の道を」と支援を呼びかける。
同事務局は大学奨学生が中心の学生団体。毎年4月と10月に全国で街頭募金を行い、病気・災害・自死遺児(交通遺児以外)、親に障害がある子どものほか、アフリカ地域の遺児を支援している。
茨城県では現在、4人の学生が活動。福沢春菜さん(県立医療大4年)は中学2年の時に父親を病気で亡くし進学を諦めかけたが、奨学生として高校・大学に進み、「夢を追い続けることができている」と謝意を示す。
あしなが育英会が行った奨学生世帯調査(速報値、本年度)によると、保護者の2人に1人が過去1年間で食料を買えなかった経験があると回答。3人に1人が公共料金や家賃などを滞納した経験があり「深刻な貧困と経済的支援の必要性がある」(同会)という。
■30.1%不採用
同事務局によると、物価高や収入低迷で高校生奨学金の申請者は増加傾向にある。2024年度は前年度比857人増の3487人で過去最多となり、本年度も3217人と3000人台だった。
申請増の半面、奨学資金が追い付いていない。採用率は24年度に過去最低の44.1%(1538人)となり、本年度も58.4%(1878人)と4割超が採用されなかった。茨城県では本年度、申請者73人のうち採用は51人で、30.1%が不採用だった。
こうした状況から、同事務局は「まだまだ多くの子どもたちが苦しんでいる」と指摘する。
■「一人でも多く」
街頭募金は全国136カ所で実施。茨城県では18、19両日の正午~午後6時に同県水戸市のJR水戸駅前で行い、県内奨学生などが支援を呼びかける。今年4月の活動では計20万773円の善意が集まったという。
福沢さんは街頭募金を遺児家庭の現状を社会に伝える数少ない機会と位置付け、「一人でも多くの子どもたちに奨学金が届くよう、声を上げたい」と力を込める。同事務局茨城ブロックの担当者は「街頭募金のおかげで採用率を上げることができる。協力をお願いしたい」と支援を呼びかける。
ネットや郵便振替(口座番号00140-4-187062 加入者名「あしなが学生募金事務局」)でも寄付を受け付ける。問い合わせは同事務局(電)03(3221)7788。