茨城県立3病院 赤字計15億円 24年度 給与費大幅増で最大

茨城県立中央病院(同県笠間市)、こころの医療センター(同市)、こども病院(同県水戸市)の県立3病院が、2024年度決算で過去最大となる計15億700万円の赤字を計上した。昨年の県人事委員会の勧告により、医師や看護師を含む職員の給与費が前年度から12億6000万円増えたのが主な要因だ。県が15日、県議会保健福祉医療委員会で明らかにした。
県病院局経営管理課によると、本業の経営状況を示す収益的収支は中央病院が前年度の400万円の黒字から14億5600万円の大幅な赤字に転落。医療センターも1億1500万円の純損失を計上し、前年度から赤字幅が拡大した。
一方、こども病院は前年度2億3800万円の赤字から6400万円の黒字に転換した。
3病院の支出の合計は前年度から17億400万円増の262億700万円。このうち給与費は168億円で、中央病院が10億円、医療センターが1億9000万円と、それぞれ増えた。外部委託による病院の清掃など維持費も、物価高や人件費の高騰に伴い増えた。
収入の合計は5億3200万円増の247億円で過去最大。このうち診療報酬などの医業収益は3億9600万円増の191億5900万円。地域の医療機関に患者の紹介を働きかけた結果、収益増につながる入院患者が7000人増えるなどしたが、中央病院と医療センターの2病院で支出の増加分をカバーできなかった。
赤字分について、中央病院はこれまでに積み立てた利益分を充当する。一方、医療センターは累積赤字が33億800万円に拡大する。
県は収益改善に向け、手術を伴う入院患者の紹介を地域の医療機関に要請する方針。国に対しては診療報酬引き上げを要望する。中央病院はがん診療機能を強化して高度な医療の提供などに取り組む。
同委員会で軸屋智昭県病院事業管理者は「医療機関の収入は診療報酬しかなく、病院側でコントロールするのは難しい。支出を極限まで減らしながら、診療報酬の改定を強くお願いしていく」と述べた。