茨城県産野菜、朝取れ直送 県、東京都内で販売 消費拡大へ鮮度に力

茨城県は本年度から、朝収穫した野菜などを数時間後に東京都内で販売し、その日のうちに食べてもらう「朝どれ直送企画」に力を入れている。大消費地の首都圏への近さを生かして鮮度にこだわり、茨城県農産物のおいしさをPR。東京都中央卸売市場での県産青果物の取扱高は21年連続で全国1位だが、さらなる購入や消費量のアップを目指す。
9月15日、東京・渋谷の新宿高島屋に「マルタマ真レンコン」が並んだ。小美玉市玉里地区で生産されたJA新ひたち野(石岡市)蓮根部会玉里支部の独自ブランドだ。午前5時半から1時間かけて収穫され、同10時半から販売が始まると、わずか3時間で100パック計40キロが完売した。
一般的なレンコンは表皮を白くするため、収穫の数日前に茎や葉を刈り取るが、「マルタマ-」は収穫時に刈るため、呼吸していた跡として表皮に赤褐色の「赤渋」があり、新鮮さの証しとなる。
同JA営農経済センターの吉水啓展さん(35)は客に赤渋を説明しながら、収穫したてのみずみずしさや食感の良さをPR。「多くの人に関心を持ってもらえてうれしい」と手応えを語った。
■予想以上
この「朝どれ直送企画」は大消費地の首都圏に近い立地を生かし、鮮度にこだわって県産品の魅力を発信。イメージ向上につなげる。首都圏の小売り店で県産品を購入してもらうことを期待するほか、県内の直売所などへ直接商品を購入しに来てもらい、観光振興にも結び付けたい考えだ。
同企画第1弾は、7月にJA北つくば(筑西市)結城園芸部会トウモロコシ部の独自ブランドのトウモロコシ「夏祭り」、9月上旬に常陸太田市オリジナル品種のブドウ「常陸青龍」を販売した。
県県産品販売課によると、いずれも数時間で完売したり、他産地のものより売れ行きが良かったりした。担当者は「予想以上の反応」と驚きを隠さない。
■21年連続1位
県によると、東京都中央卸売市場で2024年の茨城県産青果物の取扱高は前年比11.2%増の659億円。市場でのシェアは11.1%で、21年連続で全国1位となっている。
同課担当者は「今まで知られていなかった県産品やその魅力をPRし、さらなる消費拡大につなげたい」と意気込んでいる。