出産や育児、変遷を紹介 埴輪や江戸時代資料展示 茨城県立歴史館
育児と出産を取り巻く社会や文化の変化を紹介する企画展「出産と育児のあれこれ」が、茨城県水戸市緑町の県立歴史館で開かれている。古文書や道具など多彩な資料を通して、人々がどのように出産・育児に向き合ってきたかを紹介している。
同県ひたちなか市の大平古墳群で出土した「乳飲み児(ご)を抱く埴輪(はにわ)」を皮切りに、江戸時代、現代まで計95点の資料が並ぶ。時代によって価値観が移り変わる様子を一望するとともに、現代と共通する悩みや願いを見ることができる。
「出産・育児と社会」の章では、江戸時代後半、少子化に直面した水戸藩が、貧困などを背景とした子の間引き(子殺し)に対して行った啓発や経済支援などを紹介。国や地域と子育ての関わりを示す資料が並ぶ。間引きをいさめる「育子図説」には、仕事と育児の両立を指南する内容があり、当時の子育て当事者の悩みを伝えている。
安産祈願のお守り「オカシマサマ」は本展の見どころの一つ。出産を控えた家に置かれ、無事生まれると新たな半紙で包み水引をかけて、次に出産のある家へと引き渡されたもの。中心は黒く炭化しており、積み重なった紙が多くの人々の強い願いを感じさせる。
同館の広瀬昌子首席研究員は「育児や子育ては立場によって見方が変わる」といい、「自分の経験や興味に照らし合わせながら、今との共通点や相違点を探してみてほしい」と話す。
会期は11月24日まで。午前9時半から午後5時。月曜休館。












