ヘルメット着用へ連携 茨城県警と筑波大 授業題材、促進策を検討
茨城県警はヘルメット着用を促し自転車事故の被害を軽減しようと、多くの学生が自転車を使う筑波大と連携し、着用促進プロジェクトに乗り出した。学生らが授業の一環として学内で意識調査などを行い、効果的な着用促進策を検討。県警側も事故に関する情報提供で協力する。県内の着用率は約2割と伸び悩んでおり、24日は同大構内で合同キャンペーンを開いた。
筑波大の敷地は東京ディズニーランドの約5倍の約258ヘクタールと広大。構内の移動に多くの学生が自転車を使う。県警によると、同大の半径3キロ圏では過去5年間で、大学生の自転車が関係する事故が66件発生し、「事故多発地帯」となっている。
一方、2023年4月から努力義務となったヘルメットの着用で、大学生は特に低調だ。県警によると、昨年1年間に県内で発生した自転車が関係する事故で、学齢別の着用率は中学生の69.9%に対し、高校生は11%、大学生等は5.3%にとどまった。
こうした状況を踏まえ、県警がヘルメット着用促進に関して筑波大に連携を提案したところ、大学側が快諾。理工学群社会工学類の「都市計画演習」で、2年生9人がこの題材を扱うことになった。
指導する谷口綾子教授は「学生の態度変容を促す効果的な仕組みを構築し、将来的には大学全体で取り組んでいければ」と話す。
学生らは県警交通総務課の警察官を授業に招き、自転車利用者が車と衝突して30~40メートル飛ばされた事故など実際の事例を学習。態度変容の調査を行うアンケートも作成し、学生らが着用したいと思うデザインや購入できる価格帯などを尋ねている。
イベント時に配る啓発チラシにもこだわり、表紙には赤地に白抜きで大きく「重傷」と記載。中面では事故の発生状況や事例を紹介する。デザインを担当した藤井優衣さん(19)は「どうすれば興味を持ってもらえるか、目を引く言葉を選んだ」と話す。
24日、構内のスーパー前で開いた合同キャンペーンには学生と同課員が参加。訪れた一般学生に、デザインや軽量性に優れた帽子型ヘルメットを体験してもらい、普段着用しない理由を尋ねると「見た目の問題」「重いから」などの意見が寄せられていた。
筑波大と県警は今後、プロジェクトに事業者の協力も得て産官学の枠組みを目指す。メンバーの一人、加賀悠生さん(19)は「着用することで意識が高まれば、長期的には事故の減少にもつながる」と研究に意欲を示した。












