茨城県内の高齢者事故 四輪車乗車中の死者、歩行者を逆転 県警、ドライバー対策強化
茨城県内で高齢ドライバーによる交通死亡事故が増えている。これまで事故で亡くなる高齢者は歩行者の割合が最も多かったが、昨年初めて四輪車乗車中の死者が上回り、今年も同様の傾向が続く。アクセルとブレーキの踏み間違いなどの操作ミスが目立つ。高齢者の事故防止はこれまで歩行者に重点が置かれてきたが、県警はドライバーの高齢化や乗車中の死者が多い状況を踏まえ、高齢運転者を対策の柱に加える。
県警によると、昨年の県内での高齢者の交通事故死者は54人で、全体の5割を超えた。状態別では四輪車(同乗含む)が20人、歩行者が19人で、初めて四輪車が歩行者を上回る逆転現象が起きた。
今年も、高齢者の死者28人(8月末時点)のうち四輪車は15人と半数を超え、歩行者9人、二輪車3人、自転車1人を大きく上回る。昨年と同様の傾向が続いており、県警は「高齢者の交通事故の情勢が大きく変化してきた」とみている。
■目立つ操作ミス
特に目立つのが75歳以上のドライバーによる事故だ。8月末時点で65歳以上の高齢者が第1当事者(過失の重い当事者)となった事故は1078件あり、このうち75歳以上は580件で5割を超える。
加齢によって認知機能や運動能力の低下は避けられず、県警が過去10年間の高齢運転者による死亡事故を分析した結果、ハンドル操作のミスや踏み間違えなどの「運転操作ミス」は、75歳以上で約4割を占めた。また、75歳以上の四輪運転者の死者で5割強がシートベルト非着用だった。
高齢化に伴い、県内で75歳以上の運転免許保有者数はこの10年で倍増し、約25万8千人に上る。情勢の変化を受けて県警は今後、高齢運転者を対策の柱に位置付ける。
■安全運転へ啓発
今年7~9月にかけては高齢ドライバーに対象とした対策を全27署管内で展開し、回覧板や市報など高齢者になじみのある紙媒体を使った広報啓発で安全運転を呼びかけた。
商業施設の駐車場での事故が増えていることから、県内50店舗以上のスーパーでは地域警察官らが直接啓発チラシを配布。後退時の事故が多いことを踏まえ、前進駐車した理由をドライバーに尋ねて回ると「バックが苦手」「早く止めたい」といった回答が多く寄せられた。
県警は交通安全セミナーなど運転習慣の改善を促す取り組みのほか、安全運転サポート車(サポカー)、免許返納制度の周知も図っていくとしている。












