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《広角レンズ》無痛分娩助成、茨城県内で支援の動き 負担軽減歓迎 医師「出産を前向きに」

新生児を見る「かんの産婦人科クリニック」の菅野俊一院長。同院でも無痛分娩が増えている=取手市藤代
新生児を見る「かんの産婦人科クリニック」の菅野俊一院長。同院でも無痛分娩が増えている=取手市藤代


少子化対策として、出産時の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)の費用を助成する自治体が茨城県内からも出てきた。出産する人の経済的負担を減らして選択の幅を広げるのが狙いで、経験者は歓迎する。医師は「痛みから解放され、出産に前向きになれる」とメリットを挙げる。一方で副作用のリスクもあることから、十分な情報提供とともに妊婦自身の理解も求められる。

「痛みが少なく、ご飯も食べられた。第1子と比べて楽さがだいぶ違う」

小美玉市の女性(31)は4月、第2子の長男を無痛分娩で出産した。1人目の長女を産んだ時は自然分娩で約10時間かかった。自宅から病院まで車で約1時間。緊急時の不安もあり、出産の時に長女を預ける先も考えて、予定日を決める計画無痛分娩を選んだ。

女性は背中の脊髄付近に針を刺して局所麻酔する「硬膜外麻酔」という一般的な手法を取った。全く痛みがないわけではない。「腰が重たい感じだった。お産の時間は5時間ほどで、産後もだいぶ楽だった」と振り返る。ただ費用はかかった。無痛分娩のために追加で10万円を要し、総額約84万円に上った。出産一時金で50万円の助成があったものの、「無痛分娩にも補助があったら助かった」と、支援の動きを歓迎する。

無痛分娩に対する費用助成を巡っては、東京都が10月から都道府県として初めて実施し、注目された。県内でも同様の動きがある。

大子町は少子化対策の一環として今年4月から最大20万円を補助している。事前調査を基に5人の申請を見込み、これまでに1件を交付した。

取手市も10月から最大10万円を助成している。近隣の医療機関に対する調査では、無痛分娩の割合は高まっており、4割に迫る。費用は機関ごとに異なり10万~15万円。市こども政策課は「推奨する立場ではない」と前置きした上で、「金銭的な理由で、望む分娩方法を諦めてしまう方も少なくないと想定される」とし、妊婦の選択肢を確保する考えだ。

同市藤代の産婦人科医院「かんの産婦人科クリニック」では、無痛分娩の割合が2019年に約10%だったのに対し、今年は40%を超す勢い。市の助成事業を知って希望する人もいた。

菅野俊一院長は「痛みに耐えて忍ぶのが出産という価値観が変わってきた」と話し、選択する人が増えた要因に社会的背景を挙げる。メリットを「痛みのストレスから解放されて回復も早い。お産に前向きになれて少子化問題の解決策になり得る」とした。緊急時にも対応しやすいという。

一方で注意も必要だ。「麻酔効果による低血圧や、まれではあるが麻酔薬中毒や処置後の頭痛が発生することがある」。同院では毎月1回、希望者に無痛分娩に関する教室を開き、こうした負の側面も十分に説明した上で、同意書を提出してもらっている。

「医療に『100%安全』はないことを理解してもらう。情報をきちんと提供し、選択肢として無痛分娩というアイテムを渡すまでがクリニックの役割。最後は患者の判断を尊重する」



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