アサヒ障害1カ月 守谷の茨城工場、手作業で受注 十分な数量確保できず
アサヒグループホールディングス(HD)が外部からのサイバー攻撃を受け、物流のシステムに障害が発生してから29日で1カ月となる。システムによる受注や出荷業務は依然として停止しているが、国内最大のビール生産拠点である茨城県守谷市の茨城工場では手作業による受注を行い、順次、製造と出荷を再開している。同社は商品の偏在解消に取り組んでいくという。
同社は9月29日、サイバー攻撃の影響を受けてシステム障害が発生した。障害により国内グループ各社の受注と出荷、お客様相談室などのコールセンターの業務が停止した。10、11月に予定していたビールなどの新商品は発売延期となった。
ビール工場は茨城を含む全6工場で10月2日から製造を再開したが、28日現在もシステムによる受注、出荷業務は停止している。そのため商品の供給を最優先業務と位置付け、工場や営業部門では電話やファクスで受注し、エクセルを使って社内管理するなど、システムで管理していた業務を手作業で進め、順次出荷している。
出荷再開の商品は順次増えている。茨城工場は10月2日から看板商品アサヒスーパードライの製造、出荷を再開。15日からはアサヒ生ビールやクリアアサヒなどを一部出荷し、24日からは飲食店向けのたる詰め商品を拡大した。31日には、出荷できる缶ビール商品が増える予定。歳暮ギフトはスーパードライの詰め合わせの主要3商品に絞り、出荷を11月18日から順次開始する見込みだ。
一方、受注や物流対応に一部制限を設けた計画出荷となっていて、商品は十分な数量が確保されていない。同社は計画に対する生産量の減少幅については明らかにしていないが「商品の偏在解消に取り組んでいく」としている。
茨城工場は敷地面積が約38万8千平方メートル。1日のビールの生産量は350ミリリットル缶に換算して約590万本に上り、面積、生産量ともに同社として国内最大。1991年操業開始。ビール類や缶チューハイ、飲料水を製造している。











