江崎玲於奈賞に安達氏 有機LED高性能化寄与
ナノサイエンス、ナノテクノロジー分野で世界的な業績を上げた国内研究者を表彰する、第22回江崎玲於奈賞の審査会が28日、オンラインで開かれ、九州大大学院工学研究院主幹教授の安達千波矢氏(62)=有機電子工学=が選ばれた。安達氏には副賞1000万円などが贈られる。
同賞は茨城県科学技術振興財団とつくばサイエンス・アカデミーが主催し、関彰商事が協賛。選考委員はノーベル賞受賞者の江崎玲於奈氏、白川英樹氏、野依良治氏、小林誠氏の4人を含む計7人が務めた。
安達氏は、スマホや薄型テレビのディスプレーなどに用いられる有機発光ダイオード(有機LED)の研究者。1988年に有機LEDの新しい薄膜積層技術を提案し、材料選択の幅を押し広げた。さらに有機LEDでの発光効率の一層の向上を目指して、熱活性化遅延蛍光(TADF)に注目。高効率の発光が得られる新しい分子群を作り出すなどの成果を上げ、高性能有機LEDの研究開発を主導してきた。
審査会後の記者会見で、江崎氏は「将来性のある研究をした」と評価した。
この日は県内研究者を対象とした第36回つくば賞、第35回つくば奨励賞も併せて発表された。
江崎氏は、2013年に江崎賞を受賞した京都大の北川進氏が今年のノーベル化学賞を受賞したことに触れながら、「世界の科学技術の発展に寄与する権威ある賞として育むとともに、(表彰を通じ)わが国の科学技術の進展に寄与していきたい」と話した。
各賞の受賞者は次の通り。(敬称略)
▽つくば賞
高田和典(物質・材料研究機構)
▽つくば奨励賞(実用化研究部門)
ウー・ラダー(同)
▽つくば奨励賞(若手研究者部門)
海老原格(筑波大)












