茨城県警、転職者の採用増 24年度4割 年齢制限緩和や枠新設
茨城県警察官採用試験受験者が減少する中、他の職種からの転職など社会人経験者が増えている。受験資格の緩和や試験区分の新設によって、なり手の間口を広げてきたこともあり、2024年度の採用者における転職者の割合は約4割に上った。採用担当者は現場の即戦力として活躍できるといい、「幅広い知識やスキルを生かしてほしい」と歓迎する。県警は現役警察官から直接話を聞く機会を設けるなど、志願者確保に一層力を入れている。
県警警務課採用係によると、県警の採用試験の受験者数は2001年の2498人をピークに、右肩下がりの減少。昨年度はピーク時の5分の1に近い582人まで落ち込んだ。
受験者減少の要因について、同課は「仕事に危険が伴ったり、不規則な勤務体制など(警察官に)ネガティブなイメージがあるのではないか」と推測する。
なり手を増やすため、県警は警察官の受験資格の見直しを実施してきた。30歳未満だった新規採用の警察官の年齢制限は、17年度から33歳未満に緩和。22年度からは35歳未満とし、試験区分に社会人経験者枠の「職務経験」を新設した。
同枠の受験者には、仕事をしながら試験対策をすることが難しい社会人の事情を考慮。従来の教養試験の代わりに、民間企業などで広く使われている適性検査「SPI」を導入した。
こうした対策によって、高校や専門学校など(大学を除く)を卒業した受験者は約6割が「既卒」。昨年度の採用者のうち、転職者の割合は大卒・高卒区分ともに約4割に上った。
同課は「資格や幅広い知識は多様化する犯罪の対策につながるほか、現場の即戦力にもなる」と、社会人経験者が持つ能力に期待を寄せる。
県警では社会人経験者を含め、就職後のギャップや不安を減らすため、警察官から直接話を聞く機会を設けている。県内警察署での業務説明会のほか、OB・OG訪問も申し込める。
9月には同県茨城町上石崎の警察学校で警察官を目指す高校生や転職者に向けた「オープンカンパニー」を実施。鑑識体験や職務質問体験を通して、警察業務の理解を深めた。
同課の担当者は「どんな経験も生かして働ける環境。警察官の仕事を知り、転職先の一つとして考えてほしい」と呼びかけた。












