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茨城県内企業、給与引き上げ6割 官民、最低賃金対応急ぐ 10月から69円増

企業の担当者(左)から賃上げ支援金について相談を受ける社会保険労務士=水戸市笠原町
企業の担当者(左)から賃上げ支援金について相談を受ける社会保険労務士=水戸市笠原町


10月から茨城県県の最低賃金額が69円増の1074円となり、事業者は給与を引き上げたり、国や県の補助制度を活用しようと情報収集したり、対応に追われている。東京商工リサーチ水戸支店の調査によると、最賃引き上げに伴い給与引き上げに踏み切る県内企業は6割に上る。一方で国と県、県社会保険労務士会は今年初めて協力して事業者の相談に応じるなど支援体制を整えた。

■4者協力体制

「二つの支援金どちらも使えそうですよ」。相談に訪れた経営者らに、社労士が国や県による助成金について説明する。同県水戸市内で10月29日にあった賃上げに関する個別相談会。県と茨城労働局、県社労士会、県中小企業診断士会の4者が企業支援で協力する「いばらき賃上げ応援!パッケージ」の一環だ。県中小企業診断士会は価格転嫁などを支援する。

全国的にも例がない4者による協力体制について県社労士会の皆川雅彦専務理事は「事業者目線で支援できる。国と県の施策をスムーズにつなげられるようになった」と意義を強調。10月に入ってから相談は増えているという。

■人件費が上昇

同県北茨城市で飲食店や水産加工、魚卸を手がける「まえけん」の前田賢一社長(49)は「人手が必要。良い助成金はないかと考えていた」と相談に訪れた。経営する飲食店では主婦や学生の従業員も多く、最賃引き上げに伴って人件費が上昇。社労士からの助言で、助成金申請を検討することにした。「支援を受けながら、効率よく加速度的に動きたい」と見据える。

従業員数百人を抱える警備会社は、時給が低い人の給与を上げると、高い人との差額が少なくなることを懸念。作業効率や生産性を上げる工夫は難しく、人手不足も重なる。相談会で県の支援金活用を勧められ、発注元に協力を求めるアドバイスを受けた。

介護施設を運営する社会福祉法人の総務担当者は「最賃の引き上げ幅が大きいので、そのまま給料に反映すると大変」と心配する。慢性化する人手不足を解消するために賃金は上げたいものの「当面は最賃をクリアするだけで精いっぱい」と首を振った。

■際立つ境界線

同支店の調査によると、最賃の引き上げに伴い、給与を改定すると回答した県内企業は60.8%。内訳は「引き上げ後の最低賃金より低い時給での雇用はないが給与を引き上げる」が30.4%、「現在の時給は引き上げ後の最低賃金を下回っており、最低賃金額を超える水準まで給与を引き上げる」18.4%、「現在の時給は引き上げ後の最低賃金額を下回っており、最低賃金額と同額まで給与を引き上げる」11.9%だった。

政府は最賃を2020年代に全国平均1500円に引き上げる目標を掲げる。自社で5年以内に対応できるかについて「不可能」と回答したのは58.3%。「すでに達成」は15.2%、「可能だ」は26.3%だった。

同支店は「最賃の引き上げは、企業の付加価値力の差と絡み合いながら、生き残りと淘汰(とうた)の境界線を際立たせている可能性がある」と指摘している。



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