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バーテンダー人生貫く 水戸「アンバーハウス」 滝島信臣さん死去・89歳 温厚な人柄、洋酒文化発信 茨城

カウンターに立つ「アンバーハウス」の滝島信臣さん=2007年2月、水戸市泉町
カウンターに立つ「アンバーハウス」の滝島信臣さん=2007年2月、水戸市泉町


お酒好きが集う場所として半世紀近く愛されてきた茨城県水戸市泉町のバー「アンバーハウス」。オーナーの滝島信臣(のぶおみ)さん(愛称のーさん)が10月、89歳で死去した。カウンターに立ち続け、生涯現役を貫いた〝生粋〟のバーテンダーだった。気さくな人柄で洋酒文化を発信してきた故人を悼み、親交のあった有志らはしのぶ会を計画中。「大好きだったウイスキーで乾杯を」と、温かく送り出そうとしている。

「洋酒のイロハを教えてもらった。今の自分があるのは滝島さんのおかげ」

日本酒も洋酒も手がける木内酒造(同県那珂市南酒出)の社長、木内敏之さん(62)は静かに語る。青年時代に「かっこいいバーがある」と仲間に誘われ、滝島さんと出会った。

20代半ば、滝島さんの誘いでウイスキー発祥の地、スコットランドを一緒に訪れ、洋酒を学んだ。

滝島さんは若い頃、米国各地を巡り、ジャズと米国文化を吸収。帰国後の1980年にcoffee&jazzの店「アンバーハウス」をオープン。本物の洋酒文化を届けてきた。

木内さんによると、滝島さんは洋酒の知識が豊富で、ウイスキーのことなら何でも知る「まさにウイスキーの伝道師」。店は数百種類の洋酒が並び、技術の高い「オーセンティックバーの先駆けだった」。

人柄は温厚で「怒った姿は見たことがない」と、滝島さんの長女・徳子さん(54)。人柄にほれて、店に通う客も少なくなかった。「のーさん」の愛称で親しまれ、客や友人だけでなく、家族も愛称で呼んでいた。

「行ったことがない、スコットランドの小さな島に行きたい」。昨年末、木内さんはそんな話を聞いたという。滝島さんの意欲は尽きなかった。

10月1日に他界。カウンターには直前まで立ち続けた。「死ぬまでここにいたい」。常々そう語り、生涯現役を貫いた。

お酒、ジャズ、骨董(こっとう)時計-。「お店は趣味の空間だった。好きなものに囲まれてする仕事。幸せだったでしょう」と徳子さん。いつも変わらず、生き生きとしている姿に「天職とは、こういうことを言うのかと思っていた」と話す。

親交のあった有志らで、しのぶ会を11月末ごろにも開く計画を立てている。「のーさんの人柄、生きざまを考えると、前向きに送り出してあげたい。大好きだったウイスキーで乾杯したい」。木内さんの言葉に、滝島さんへの思いがこもった。



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