女性活躍 茨城県内企業58% 積極採用や管理職登用
									積極採用や管理職登用など茨城県内企業で女性活躍を推進する取り組みが進んでいる。2026年に改正女性活躍推進法(女活法)が施行されることから、人手不足を解消しようと、社内制度を整える動きがある。常陽産業研究所が今年9月に行った調査によると、取り組みを進める県内企業は全産業で58.0%に上り、19年の調査開始以来、最高になった。
■子育て支援
「新商品、パッケージ良いね」「やわらかめだから高齢の方も食べやすいよね」。豆腐製造販売の染野屋(取手市)。営業所の販売員として入社した袖山直美さん(53)は和やかに同僚と話しながら、豆腐や生揚げなどの商品を移動販売車に積み込んだ。
同社は販売員などに女性を積極採用。県内営業所の取手支店はここ数年で女性社員の割合が2割から5割に増えた。鍵となるのは働きやすい環境の整備だ。
今年6月から子育て支援として通常の就業時間より1時間早く退勤でき、本来出勤の祝日を公休とする勤務形態を設けた。移動販売に子どもを同伴できるようにもした。こうした取り組みにより入社希望者は増加。応募の8割が女性になった。同社出店準備室の高浪公太室長は「このまま女性を積極的に採用していきたい。社員や求職者に歩み寄って制度を作っていきたい」と話す。
常陽銀行(水戸市)は女性の管理職登用やキャリア育成を推進。女性の役付者は年々増え、係長級以上はここ5年間で11.6ポイント増の34.6%になった。看護休暇や時短勤務の制度を拡充し「少しでも長く活躍してもらう」(担当者)環境を整備。次の段階として、副支店長以上の上級管理職を現在の11.6%から30年3月末までに15%以上にする目標を掲げる。
■改正法施行
改正女活法は、従業員101人以上の企業で男女間の賃金格差や女性管理職比率といった自社状況の公表を義務付けている。同研究所は今後、社会的要請などからあらゆる企業で女性活躍への積極的な取り組みが求められるとしている。
同研究所の県内企業調査によると、女性活躍の取り組みを進めていると回答した企業の割合は全産業で23年比7.5ポイント増の58.0%。業種別に見ると、製造業が6.4ポイント増の55.2%、非製造業が8.3ポイント増の60.2%。従業員規模別では、30人未満が40.3%だったのに対し、300人以上は92.9%に上った。
取り組みの内容を見ると、積極採用が65.2%と最多。役員・管理職への積極登用44.3%、勤務形態の多様化39.1%、研修・教育機会の拡充34.8%と続く。同研究所は「人手不足が常態化する中で、人材確保の観点から取り組みの必要性が高まっていることを示している」と見ている。
■自助の限界
調査では企業から「育児介護休暇制度やフレックスタイムなど就労面での整備が大幅に向上」(輸送用機械製造業)、「さまざまな仕事に取り組んでほしいと考え、希望者にはフォークリフト講習を受講してもらっている」(電気機械製造業)など事例が示された。
一方で「企業の自助努力だけに任せるのではなく、国が促進する仕組みが必要」(輸送用機械製造業)などと、企業の限界を訴える意見も聞かれた。同研究所は「国や自治体も情報発信の強化や企業へのサポート体制の充実がより一層求められる」と指摘している。
                    
                        
                        









